- 著者インタビュー
- 音楽
単刀直入に、音楽は人が生きていくうえで大切なものだからです。人は、音楽を聴いたり奏でたりすることで、気持ちが落ち着いたり、慰められたり、ウキウキしたり、やる気が湧いたり、逆に落ち込みが深くなったり、涙があふれたり……と音楽によって感情が揺さぶられます。音楽にはそのような不思議な力があり、音楽を感受する種を誰もがもっています。その種に水をまき、肥料を与え、心を耕していくために音楽の授業があるのです。
気持ちのテンションを高く保つよう心がけています。もちろん落ち込んだり、体調を崩したりすることがありますが、そんなときでもピエロになってテンションを高めようとがんばります。教師自身のやる気の度合いは、教材研究、授業準備につながっています。そして、教師のやる気は、生徒のやる気に直結します。生徒の生き生きとした姿を頭に描きながら授業準備をしています。
出会いは縁です。何かの縁でこのタイミングで出会ったメンバーにこう言います。「この出会いにはきっと意味があるはず。だからこの出会いを無駄にしないよう、一人一人精一杯の活動をしよう」と。
そして、コンクールは勝負の世界です。しかし、私は「勝つ」とか「金賞をとろう」とは一言も言いません。上位大会へ進むということは、自ずと私たちの演奏を聴いていただける機会が増えることになります。ですから生徒たちには「今年も私たちの演奏をたくさんの人に聴いてもらいたい。そして、私たちが奏でる合唱のファンを増やそうじゃないか」と投げかけます。
「音楽はそっと寄り添う心のパートナー!」ですね。パートナーという言葉は、共同で仕事や競技などをするときに組む相手や相棒、また配偶者という意味に使われます。お互いを理解し合い信頼を深めていく中で、支え合い高め合っていく大切な存在です。音楽はそれと同等に心を支え高めてくれるとても大切なものだと私は確信しています。現に、音楽は、私の公私(仕事&私生活)で私を支え高めてくれる相棒です。
音楽教師は、学校行事や部活動と直結していることが多く、一人で悩んだり、抱え込んだりしてしまうことも少なくないはずです。そんな孤独な戦いをしている音楽教師の一人として、何かのお役に立てればとの思いで書きました。
「音楽の授業ってなぜあるの?」。本書の冒頭に私なりの答えを私なりの表現で書きました。この究極の問いに真正面から向き合うことで、音楽教師としての姿勢や授業の中身が決まるのではないでしょうか。先生方お一人お一人が、この問いに対するご自身の答えをご自身の言葉でもつことが、音楽教師としての強みになるはずです。
音楽を愛好する者として、音楽の素晴らしさを一緒に伝えていきましょう。