著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
給食指導で食の基本を徹底するために
北海道札幌市立幌東中学校教諭山下 幸
2015/2/4 掲載
 今回は山下 幸先生に、『THE 教師力』シリーズの最新刊として発刊された『THE 給食指導』について伺いました。

山下 幸やました みゆき

1970年北海道苫前町生まれ。北海道教育大学岩見沢校卒。現在、札幌市立幌東中学校教諭。1995年「研究集団ことのは」に入会。『THE 清掃指導』『目指せ!国語の達人 魔法の「音読ネタ」50』『目指せ!国語の達人 魔法の「スピーチネタ」50』『目指せ!国語の達人 魔法の「聞き方ネタ」50』(明治図書)など著書・編書多数。

―たかが給食指導、されど給食指導。子ども達の集団としての協調性を養う絶好の機会でもある給食指導ですが、まず、教師が大切にすべきことは何でしょうか?

 食の基本は本来、各家庭でしつけられるはずです。しかし、核家族化とともにそれが最近崩れつつあります。食のマナーやルールはもちろん、みんなで給食を食べることの楽しさや食への感謝を共有し合う時間を大切にしたいですね。

―給食指導については、学級開きの時期など、まず初めの指導が大切と言われます。最初の指導で重要なポイントはどのようなものでしょうか?

 清掃とは違って、準備→食事→後片付けといった一連の流れをテンポ良く進めないと時間がいくらあっても足りません。子どもたちは当然食事の時間が一番楽しい訳ですが、それには準備と後片付けの効率化が求められます。「役割分担の徹底」と「お手伝いの大切さ」を共有させる指導を心がけたいですね。

―給食での課題となるテーマの一つに「おかわり」があります。食事中のマナーにもかかわりますが、先生おすすめのルール・取り組みがあれば教えて下さい。

 例えば中学生になると、男子生徒と違って女子生徒は「おかわり」をしづらい状況になります。周囲の目が気になるからでしょう。さんなとき、本書の中で高橋和寛先生が提唱されている女子おかわり優先の「レディースディ」が有効です。私のクラスでも取り入れていますが、レディースディの時は女子の表情が生き生きとして、男子は寂しそうな顔をしています。普段とは正反対の表情がなんとも微笑ましく映ります。

―給食の「好き嫌いへの対応」、偏食指導については、先生によって判断が分かれる部分があります。「叱る」前に出来ることには、どういったものがあるでしょうか。

 本書の中でも小学校の先生の多くが偏食指導をいろいろと工夫されています。絵本を効果的に使っていたり、全校体制の中で給食レンジャーなるものを登場させたり……。飽食の時代だからこそ栄養バランスのとれた給食を残さない指導を工夫したいですね。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願い致します。

 これまでにあまり類書がない一冊です。たかが給食指導、されど給食指導でありつつも、当番の役割分担や配膳の仕方、おかわりのルールや食事中のマナー、好き嫌いへの対応、給食の座席隊形、雰囲気作りの方法、後片付けのコツなど、食生活の基本となる大事なポイントを小中の実践家が具体的に語っています。ぜひ一読いただければ幸いです。

(構成:及川)

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