- 著者インタビュー
- 学級経営
高校は学校ごとに特徴が異なりますが、教師の仕事には共通点があります。その1つが、「生徒を責任感ある、自立した大人に育てる」という意識を持つことです。長期にわたって教育の質を高めるには、教師と生徒との人間関係が重要です。人と人との相互作用で成り立つのが教育だからです。では、担任としてどのような意識を持てば、生徒とよい関係をつくり、どの生徒も居場所を感じ、伸びる学級づくりができるのでしょうか。本書では、そのための担任や副担任の心構え(哲学)もご紹介しています。心構え(哲学)が変わると、ふだんの行動も変わりやすいことを実感していただけるかと思います。
確かに高校教師の仕事は多くあり、その主なものは、「教科の仕事(授業)」、「学年・学級の仕事」、「校務分掌の仕事」、「部活動の仕事」と分けられます。教師は常に時間不足の状態にあり、それを脱却する仕事術として次の5つをご紹介しています。「その場主義」、「予定主義」、「同時主義」、「整理主義」、「一元主義」です。これらの考え方や取り組み方を意識すると、同じ仕事が短時間で済み、その分、時間を生徒や同僚の先生方と話をしたり、創造的な仕事に使えたりします。日々の実践が変わる「担任仕事術」をぜひご覧ください。
大学入試シーズンは、「高3の夏休み」から国公立の結果が出る「3月頃」までの約半年間、ハードな毎日が続きます。この時期の指導で大切なのは、「生徒との関係をつくり、個々の思いを把握したうえで納得型の指導をする」、「入試に向けた月別指導ポイントを頭に入れる」、「校内会議や校外の研修会を通して進路情報の更新に努める」、さらに、「模試の効果的な活用法」を生徒に伝えたり、「志望理由書・推薦書・調査書・面接指導」などの進路実務をこなしたりするなど、多岐にわたる仕事を確実に予定通り行うことが大切です。本書では、これらの仕事の全ポイントが忙しくても短時間で学べるよう、実物資料とともにビジュアルにご紹介しています。
まずは本書の目次をご覧いただけたらと思います。「新年度準備」、「学級開き」、「生徒指導」、「行事指導」、「大学入試の進路指導」、「入学式・卒業式」、「保護者との連携」など、高校学級担任が3年間で行う主な仕事を網羅しています。この中から興味のある項目を開いていただき、「概要や背景」を読み、時系列順の「手順」で実際の指導をイメージします。さらに「留意点・工夫」で指導上の留意点を学び、右ページの実物資料に移ります。この部分は、現場の先生方がまさに必要とされている情報を具体的に、しかも、生徒にすぐに活用できる状態で簡潔にまとめました。本書を通してきっと「ヒントが得られた!」という体験をしていただけるかと思います。
私たち教員はどのようなときに幸せを感じるのでしょうか。それは、生徒の成長が見られたときや、まわりの人たちとの関係がよい状態にある時だと思います。本書は、これまでの実践の中でうまくいった指導について日々書きとめ、約500ページになったそれら資料の中からエッセンスを1冊にまとめたものです。先生方の指導のヒントになる項目がギュッとつまったものになっています。本書を通して、読者の先生方の幸せに少しでも貢献できればと思います。ともに、素敵な大人に育てるために頑張っていきましょう!