- 著者インタビュー
- 学級経営
柴田先生:「出会いを大切に」と言いますが、「学級開き」はまさに「出会い」の第一歩です。しかしどう「大切にしたらいいのか」、特に若い教師には具体的にわかりません。「こんなクラスにしたい」「こんな仲間にしよう」という方向性を示すのが「学級開き」です。協力して楽しいクラスにしていこうねという希望を与えるのが「学級開き」なのです。
本書にはその実践がたくさん載っています。ぜひ、参考にしていただければと思います。
柴田先生:10のルールは以下の通りです。
ルール1 方針を決めよう
ルール2 見通しをもとう
ルール3 最初の一週間のタイムスケジュールをつくろう
ルール4 情報を集めよう
ルール5 連携をはかろう
ルール6 学級組織を構想しよう
ルール7 学びの空間をデザインしよう
ルール8 モノを準備しよう
ルール9 希望と夢を語ろう
ルール10 長期戦で臨もう
ルール1、2、3、4は担任の学年が決定したらすぐに行います。ルール5は学年の先生方との連携です。
この中にあって特に意識したいのは、ルール4です。一人一人の情報を知り、その良いところを「学級開き」で一言でいいのでその子に言ってあげると、「信頼」が生まれます。『この先生、私のことを知っていてくれる』という「安心感」です。学級経営では何より重要なことです。
宇佐美先生:【出会い前】では、やっぱり「学級開きチェック項目」を作成しておくことをおすすめします。
4月は子どもたちと出会ったばかりにもかかわらず、一年の中でもっとも行事が多い月でもあります。そんな中、授業を行いながら、学級経営をしていかなければなりません。チェック項目を作成することで、教師自身が学級をスタートさせるためにしっかり見通しを持つことや自分が学級開きでやりたいことを計画的に盛り込むことができます。
【出会いの時】では、「共同作業を取り入れた『やる気・元気・根気』」がおすすめです。
3つの言葉に教師が求める子ども像が盛り込まれているので、「元気=元気よくあいさつをしよう!」などのように具体的な姿を子どもたちにわかるように伝えることができます。また、共同作業させる中で、良い表れをした子どもをチェックし、その子をほめることで、『この先生はほめてくれる!』と先生への信頼感もアップします。
【出会い後】では、「ICT活用」です。
学級経営の基本は何と言ってもふだんの授業です。どんな素晴らしい学級開きをしても、その後の授業でつまずいていたら、何にもなりません。とは言っても、4月当初の激務の中、どの教科も教材研究をじっくりやるというのは不可能に近いです。そんな時に役に立つのがプロジェクター&教材提示装置です。これさえあれば、自分が提示したい資料を大きく提示できるので、授業準備も簡単です。教科書の挿絵や写真、図書館で見つけた資料、自作のワークシートなど何でも拡大し、視覚的に訴えることができるので、子どもたちの理解もアップすること間違いなしです。
私の場合、上記の二つに個人で購入したホワイトスクリーンをプラスした3点セットを毎日使っています。本当に便利で、おすすめです。
宇佐美先生:4月は子どもと教師が出会う大切なときです。どんな出会いをして、どんなスタートをするかで、一年間の行く末を左右すると言っても過言ではありません。
この本には、多くの先生が実践し、「これは!」と思うものを盛り込んだアイデアがたくさん詰まっています。どの実践も胸を張っておすすめできるものばかりです。一つ一つじっくり読んでいただき、やってみたい実践があったら、ぜひ取り入れてください。そうすることで、子どもたちとの一年間の素晴らしいスタートを切っていただけたら、こんなにうれしいことはありません。そんな私自身も、4月にどんな学級開きをしようか、この本を片手に思案中ですけれど…。