著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
理科授業成功の鍵は実験にあり。でも、それ以外にもあるんです
茨城県公立学校教諭宮内 主斗
2015/3/17 掲載
 今回は宮内主斗先生に、新刊『理科授業づくり入門』について伺いました。

宮内主斗みやうち きみと

茨城県公立学校教諭。科学教育研究協議会会員。理科の教材や単元構成だけでなく、特別支援学級担任のノウハウを生かし、楽しく分かる授業づくりに取り組んでいる。学級づくりを含めた理科の著書も執筆している。主な著書に『教科書と一緒に使える小学校理科の実験・観察ナビ』『理科授業が面白くなる科学の話』(日本標準)、『おもしろ理科こばなし』『たのしい理科こばなし』『役立つ理科こばなし』(星の環会)、『最新小学理科の授業5年(民衆社)、『理科実験の教科書3〜6年』(さくら社)などがある。

―本書は「THE教師力ハンドブック」シリーズの1冊として、テーマは「理科授業づくり」です。まず本書の特徴とねらいについて教えて下さい。

 実験紹介が少ない、理科教育では珍しい本です。理科実験のネタ本みたいな本は世にたくさんありますが、それとは対極にあるような本です。
「教科書の実験をこなすだけで精一杯です。」という声が聞かれます。この本は、教科書をベースに授業をする先生方にも役立つように書いてあります。
 理科の授業は、実験も大切ですが、それ以外にもいろいろ大切なことがあります。今まであまり書かれていなかったことをまとめました。

―第1章は「指導は事前に」というテーマで、事前指導の大切さについてまとめられています。多岐にわたる理科授業の指導は、是非事前に、と述べられていますが、この点について教えて下さい。

 子どもをほめて伸ばすことは、大切だと分かっている先生方は多いです。
 しかし、「株を守る」という故事成語のように、何もしないで待っていては子どもをほめて伸ばすことは出来ません。
 事前に教えるから、出来てほめたくなるような子が育ってきます。

―先生は本書の中で、学習課題の重要性についても述べられています。「こんな課題を出してはいけない」という点についても述べられていますが、先生が授業の課題設定の際に注意されていることはどのようなことでしょうか?

 教材研究する時には、最低でも「自分の頭で考えて、その問いに答えること。」を行います。自分で答え方に困るようなら、問いが悪いのです。
 問うだけでなく、どう答えて良いのかを明確に示す指示とセットにし、子どもたちに提示します。そして、その問いに答えることで、「楽しく分かるようになるか」も検討してください。

―本書の表紙には「理科授業成功の鍵は実験にあり」とあります。第5章のテーマにもなっていますが、実験を成功させ、価値のあるものとするポイントは何でしょうか?

 唯一のポイントは、予備実験です。本を読んでも、もちろん教科書を読んでも、自分で実験していないとうまくいかないことが多いです。
 何を目的に、どれくらい時間をかけて、どんな事に着目して行うか、私流の方法を示してあります。
 

―第6章では、「1時間の基本パターンを持つ」重要性についても述べられています。本書で詳しく紹介されていますが、この点について教えて下さい。

 「先生、それ、書くんですか。」という質問が出ることはありませんか。それは、授業のパターンが理解されていないからかもしれません。
 授業のここでは自分で取り組み、ここでは友達と作業する、このときにはみんなで話し合う…そういうパターンが決まっていれば、子どもたちはいつものように当たり前に授業が出来るはずです。

―最後に、読者の先生方にメッセージをお願いします。

 「研究授業でどうやるか。」ということでなく、「普段着の理科の授業の質を上げたい。」という願いをもつ方に、役立つ本だと思います。
 先生方の疑問に私なりの方法を示しましたが、他の方法などをお寄せ頂ければ嬉しいです。

(構成:及川)

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