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AACとはAugmentative & Alternative Communicationの略称で、日本語では「拡大代替コミュニケーション」などと訳されています。AAC研究の第一人者である東大の中邑賢龍さんは「AACとは手段にこだわらず、その人に残された能力とテクノロジーの力で自分の意思を相手に伝える技法のこと(『AAC入門』より)」と述べています。最近はコンピュータなどのデジタル機器を活用したコミュニケーション支援が普及していますが、それ以外にも機器を使わなくてもその人の意思を伝える手段が有効であればどんな方法でも良いといえます。
障害の重い子どもさんの場合、なかなか自分の意思が人に伝わらず、意欲が低下する場合があります。これを「学習性無力感」といいますが、そうならないためには「自分がやると何かができる」といった、「自己有用感」を高める事が大切です。AACではさまざまなコミュニケーション機器と同時に、スイッチトイと呼ばれる本人が操作できるように工夫されたおもちゃなども活用します。そういったものを利用することで、他者との関わりを深め、自分は出来るのだと実感することからコミュニケーションの関係を広げる事ができます。
一般のおもちゃ類は操作部分がとても小さかったり、複雑な構造になっていたりして、障害の重い子どもたちが操作できるようになっていない場合が多いです。そこで、ちょとした改造を施したり、BDアダプターと呼ばれるコントロールのユニットを付け加えると、障害のある子どもためのプッシュスイッチやひもスイッチなどその人が利用できるスイッチで操作が可能になります。
これらの事については、拙著の『【改訂版】障がいのある子の力を生かすスイッチ製作とおもちゃの改造入門』に詳しく紹介しています。
VOCAは「Voice Output Communication Aids」の頭文字をとったもので、日本語では「携帯型会話補助装置」と言ったりします。自分の意思を言葉で表現することは難しくても、この装置を使って音声でコミュニケーションすることが可能となります。VOCAには1つのメッセージしか録音できない単機能のものから、複数のボタンがあるもの、50音表の文字盤があるもの、最近流行のタブレットPCの中に入ったVOCAのソフトなど、さまざまなものがあります。
障害の重いお子さんの場合、とかく医療的な面であるとか、身体的な面であるとか配慮の必要な事項が多いために、とかくコミュニケーションのサポートがおろそかになってしまいます。しかし、圓井さんのように、小さな頃から意識して意思を伝える手段を保証すれば、本人の世界は大きく広がることが分かりました。他の人もぜひ、あきらめないで、さまざまな形でのコミュニケーション支援をして欲しいと思います。
