
- 著者インタビュー
- 算数・数学
数学的な考え方を育てるうえで重要なことの1つが、生徒の気づきや考えを引き出して授業を展開する、ということです。
生徒の気づきや考えを引き出したいとき、課題は「…を求めなさい」「…を証明しなさい」といった問い方よりも、「…について調べよう」「…について考えてみよう」「…についてどんなことが言えますか?」といった答えを広く許容する問い方の方が有効です。この方法を、本書では「オープンな形式にする」と呼んでいます。
「考えてみよう」と投げかけるだけでは不十分なので、発問によって生徒の気づきや考えを深める必要があります。そのときに重要なのが、生徒が考える必要感をもつタイミングで発問する、ということです。「解決の見通しをもたせる」「考えをゆさぶる」「考えを焦点化する」「解決の方向性を定める」…など、目的に応じて発問のタイミングをはかる必要があります。
演繹的な考え方とは、すでにわかっていることを根拠として、ある事柄が正しいことを筋道立てて説明しようとする考え方です。そのため、まずは根拠となることが何かを明らかにしなくてはいけません。つまり「あのことを使えば説明できそうだ」という解決の見通しをもつことが必要になります。
この解決の見通しをもたせるための課題の工夫として、「条件を工夫する(不足や変更)」「関連づけを図る」「対比させる」といった方法があります。発問について言えば、「どんなことが言えますか?」「…としてよいでしょうか?」などのように、筋道立てて考えるきっかけを与えるような問いを投げかけるとよいでしょう。
数学的な考え方は、日々の授業を通して育てていくものです。日々の授業は、教科書が中心となります。そこで、本書では多くの教科書で見られる問題をちょっと工夫した課題と、教科書に沿って授業を進めていくことを前提とした発問の工夫を紹介しています。この手軽な授業改善の方法が、授業づくりに悩む先生方の一助になれば幸いです。
