- 著者インタビュー
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仲間とともに成長できることです。教える子は教えることによって、よりその泳ぎについての理解が深まり、教わる子にとっては、仲間からのアドバイスで上達することが可能です。つまり、「学び合い」は、技能差を超えて、みんなにとって学びがあると考えています。個人の技能向上だけを目指した水泳学習よりも、共通に目指すべき目標を設定することで、みんなで成長を喜び合う学習ができると考えています。
学び合う、高め合うための視点を、「プールズ」と呼んでいます。従来から行われてきた様々な指導方法を参考に、子どもにとっても教師にとってもわかりやすいように、次の6つに整理しました。
「めあてと発問」「言葉と動き」「視覚化」
「ゲーム化」「ペア・グループ活動」「アドバイス」
「こうでなければならない」というものではなく、「こんな視点で授業をつくってみたらわかりやすいのではないですか?」という提案だと考えていただけるとありがたいです。
水泳は、都道府県、市町村、学校によって力の注ぎ具合が大きく異なる領域の一つだと思っています。環境にも大きく左右されますので、あくまで60時間の展開「例」だと考えてください。しかし、その例の中には、私たちが実践してきたアイデアを詰め込んでいますので、流れや活動などを実際に指導していただいて、そこから、先生方や地域に合うやり方で指導していただけるとよいかと思います。
教師がチームで指導にあたるという意識が最も重要かもしれません。学年など、複数体制で指導にあたることが多いと思いますので、指導の準備・計画段階で、とにかく疑問が残らないように綿密に打ち合わせをしてください。様々な指導方法があってよいと思っていますので、その際、本書も参考の一つとして打ち合わせの場に登場していただけるとうれしいです。
水泳に限りませんが、体育科の授業は他教科と同じく学習です。自分がどんなふうになりたいのかという子どもの願いと、子どもたちにこんな力をつけたいという教師の願いがなければはじまりません。読者の先生方が、本書の中からそれらの「願い」とそれを叶えるための方法を、一つでも見つけていただけること、それを子どもに返していただけることが私たちの「願い」です。