著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
保護者対応は、スキルやマニュアルではない
追手門学院小学校講師多賀 一郎
2015/5/15 掲載
 今回は編者を代表して多賀一郎先生に、『THE 教師力』シリーズの最新刊として発刊された『THE 保護者対応〜小学校編〜』について伺いました。

多賀 一郎たが いちろう

 神戸大学教育学部卒。附属住吉小学校を経て、私立甲南小学校に31年間勤める。現在、私立追手門学院小学校講師。元日本私立小学校連合国語部全国委員長。専門は国語教育。「親塾」を開催して、保護者の子育て支援を行ったり、若い教師の育成に尽力したりしている。また、公立私立での指導・講演、幼稚園やサークルなどで絵本の話をしている。
 著書に、『ヒドゥンカリキュラム入門―学級崩壊を防ぐ見えない教育力―』『クラスを育てる「作文教育」 書くことで伸びる学級力』『学級づくり・授業づくりがうまくいく!プロ教師だけが知っている50の秘訣』『はじめての学級担任4 1から学べる!成功する授業づくり』『小学校国語科授業アシスト これであなたもマイスター!国語発問づくり10のルール』『学級担任のための「伝わる」話し方』、編著書に、『学級づくりロケットスタート』(低・中・高学年のシリーズ3冊)(以上、全て明治図書)などがある。

―今回の書籍は、『THE 教師力』シリーズの1冊として、テーマは「保護者対応」です。本書のねらいと、その背景にある先生の想いについて教えて下さい。

 保護者との対応に日々、悩む先生方がたくさんいらっしゃいます。保護者対応の失敗から職場を去った先生も、よく耳にします。また、保護者対応をどうしたらいいのかという声は、各地のセミナーで必ず尋ねられる課題でもあります。うまくいっているように見える先生の保護者対応は、なかなか目には見えません。どういうところに気をつけて保護者に接していけばよいのか、さまざまな先生方の「智恵」を少し公開して頂きたいと考えました。

―まず、保護者と学校現場が協力体制を築いていくには、どのようなことが大切でしょうか?

 いくつも方法があります。学校により、地域により、学年により、その方法はさまざまでしょう。基本は、情報開示です。学校が保護者に隠し事をして、関係がうまくいくはずがありません。担任が個人情報は別として、学級でのことを保護者に正しく公開しないで、信頼を得られるはずがありません。この本では、その具体的な公開方法についていくつも書かれています。

―先生は親塾など、保護者教育にも力を注いでこられました。そこで耳にされた保護者の相談事で、多く挙げられるのはどのようなことでしょうか?また、その思いを学校現場につなげていくには、どのようなことが大切でしょうか?

 親も「モンスターペアレンツだと思われませんか?」と、学校に何か問い合わせるときに悩みます。一部の方を除いて、保護者は決して学校を敵対視しているわけではないということですね。

―いじめ・意地悪や、けんかなどのトラブルでは、保護者の方が感情的になられていて、強いクレームをいただくことも少なからずあります。そのような際に心掛けるべき点はどのようなことでしょうか?

 多くの先生方も書いておられますが、先手必勝です。わが子や他者を通してトラブルの情報が耳に入る前に、担任から伝えていくことが大切です。後手に回ったときに、話がややこしくなることは、多いものです。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願い致します。

 保護者とのことで苦しむことは、どんな立派な先生でも経験してきています。今回の執筆陣も、砂を噛むような思いを繰り返して、対応の仕方を工夫してきたのです。それでも、一度トラブった保護者と一生を通じての関係ができることもあるのが、教師という仕事のおもしろいところです。
 あきらめずに、誠実に対応していくことが大切です。多くの場合、保護者も困っているということを、頭に置いて下さい。

(構成:及川)

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