著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
コミュニケーションゲームでグローバル化に対応する力をつける!
愛知県春日井市立高森台中学校教諭加藤 拓由
2015/5/29 掲載

加藤 拓由かとう ひろゆき

東京都公立中学校、愛知県公立中学校、インド日本人学校、愛知県公立小学校を経て現在、愛知県春日井市立高森台中学校教諭。小学校で英語を教え始め、それまでの英語教育の指導法とは全く異なる指導法・指導観があることに気づき、「小学校の担任が中心となって行う外国語活動の指導法」の研究に取り組んでいる。

―本書には外国語活動で使えるコミュニケーション活動がたくさん紹介されていますが、そもそも先生はどうしてこのような活動を授業に取り入れるようになったのですか?

 外国語活動の指導法を知るために、全国のいろいろな学会や研究会に参加しました。そこで、よく耳にしたのが「外国語活動を行うと、いつの間にか、クラスが仲良くなった。」とか、「男女関係なく関われるようになり、クラスに一体感が得られるようになった。」などという話でした。私は、小学校で外国語活動を行う意味は、こんなところにあるのではないかと思い、みんなが仲良くなれる英語のコミュニケーションゲームを活用するようになりました。

―これらの活動は単に英語を使うだけのゲームではないそうですが、取り入れることによって、子どもたちにどのような力を身につけることができるのでしょう?

 例えば、英語のじゃんけんゲームを、チョットだけひねって「あいこが勝ち」というルールにします。普通のじゃんけんでは、勝負だけに一喜一憂していた子どもたちが、あいこになろうとして、相手をじっくり見て「次は何を出すだろう?」と友達の様子や行動に思いを馳せるようになります。「相手を思い、相手に合わせる。」じゃんけんの意味が大きく変わってきます。

―高学年で実施されていることもあり、外国語活動では男女のペア活動などがうまくいかないという話を聞くこともありますが、本書をどのように活用できるでしょうか?

 男女のペア活動がうまくいくためには、前提となる条件があります。

・きちんと向かい合って話ができるか
・お互いに目を見て話ができるか
・内緒話で伝言ゲームができるか
・身体の一部に触れあうような活動ができるか

などです。本書には、それぞれの段階にあったゲームが紹介してありますので、クラスや子どもたちの実態に合わせて工夫をしてみてください。

―次期指導要領の改訂で、外国語活動は高学年での教科化、低学年への導入が検討されています。グローバル化する社会に対応する力を育てるために、外国語活動では何が大切だと先生は感じていますか?

 小学校段階で考えられる「グローバル化」は、

・お隣のお友達と仲良くできるか?
・クラスの仲間と楽しく過ごせるか?

ではないかと思います。ゲームを行うとき、気恥ずかしいからと言って、教室の隅でかたまっているのは「グローバル化」ではルール違反です。例えば、海外のパーティではいろいろな参加者と気軽におしゃべりして楽しく過ごすのがよいマナーです。クラスのお友達と仲良くできない人が、グローバルな社会で、みんなとうまくやっていけるはずはありません。そのようなことを意識しながら、日々の授業でコミュニケーション能力を育てていきたいものです。

―全国の小学校で英語を教える先生方に、メッセージをお願いします!

 小学校の担任の先生は、いろいろな教科を上手に教えるノウハウをたくさん持っています。さらに、一日中子どもたちと一緒に過ごし、彼らの趣味や考え方、性格などを一番よく把握しています。小学校外国語活動を行う上でもっとも大切な、教材研究、児童理解のバックグラウンドは十分なのです。そこにちょっとした指導のコツや手法を身につければ、外国語活動は間違いなくうまくいきます。温かい雰囲気のクラス、やさしい言葉のあふれるクラスを作るために、外国語活動の授業に本書のゲームを様々にアレンジしてご活用ください。

(構成:木山)

コメントの受付は終了しました。