著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
学級経営もうまくいく!音楽授業の「魔法の5分間」
明星大学教育学部教授阪井 恵ほか
2015/6/1 掲載
 今回は阪井恵先生と酒井美恵子先生に、新刊『導入・スキマ時間に楽しく学べる!小学校音楽「魔法の5分間」アクティビティ』について伺いました。

阪井 恵さかい めぐみ

明星大学教育学部教授。東京芸術大学楽理科卒業、同大学院音楽研究科修士課程、博士後期課程修了。学術博士。若き日に小学校音楽専科教諭を経験し、子どもたちと音楽活動をする面白さを知り、同時に学校音楽教育の諸問題を認識するようになった。研究テーマの1つが音楽活動のもたらす同期的なコミュニケーションの問題で、本書にも多くの「一緒にやると出来てしまう!」例を選んだ。「音色」の感受メカニズムの解明、「音色」の指導法にも取り組んでいる。

―本書では、常時活動を「魔法の5分間アクティビティ」と名付けておりますが、ズバリどのような効果があるのでしょうか。

 音楽を聴いたり表現したりするための基礎的な力が無理なく楽しく身に付く効果があります。短い時間でできる楽しい活動を積み上げることが、「継続は力なり」を実現します。また、先生やお友達とコミュニケーションをとるアクティビティですので、笑顔あふれる中で、コミュニケーション能力の向上が望めます。本書は「音を聴く」「体を動かす」「歌ったり演奏したりする」「音楽をつくる」「音楽を聴く」のキーワードでまとめてあります。どこからでも使えますのでご活用ください。

―本書の活動は、授業の導入やスキマ時間で使えるとのことですが、どんな場面でどんな活動が効果的なのか、選び方のコツを教えて頂けますか?

 授業者の先生の工夫で、いつでもどこでも!?です。授業の始まりに行うことで、先に述べた効果に加えて、心身がゆったりとリラックスしたり、ワクワクした気持ちになったりし、音楽の授業に円滑に入ることができます。また、紹介した活動を発展させて、長めの学習にすることもできます。ゲームのように楽しく短い時間で行えるアクティビティですので、音楽の授業以外でも、児童の気持ちを切り替えたい時に行って、学習効果を高める使い方もできます。

―それでは、2学期の授業開きにピッタリの活動を、本書の中から低・中・高学年で、それぞれ1つずつご紹介お願いします。

●低学年「23 おみせやさん」
 「夏休みの楽しかったことをタンタンタンウンのリズムを叩きながら言う」などアレンジしてみましょう。「プール(うん)」「すいかわり(うん)」「なつまつり(うん)」などで。
●中学年「42 1分間ミュージック」
 「夏休みに聴いた素敵な音を思い出し、1人3回、声で模倣する」などアレンジしてみましょう。蝉や鳥、遊園地、スポーツの音?
●高学年「28 リクエストソング」「29 輪唱やパートナーソングを楽しもう」
 既習曲を生かして取り組んでみましょう。特に6年生はあと半年余りの小学校生活を一緒に過ごす仲間と声を合わせることは大切ですね。
 夏休み前時点での成果と課題及び2学期の指導計画をふまえ、授業者の先生がいろいろ工夫なさってみてください。本書にヒントがたくさんあります。

―巻末に「リッスンタイム おすすめ曲40一覧」として、3分前後の曲のリストが収録されていますが、どのように活用できるのか教えて頂けますか?

 汗をかいた体育の授業の後なら、目を閉じて03、04、10、40などを聴き、クールダウン。真剣に話し合った道徳の時間の後なら、20、29、33、36など、明確なビート感のある曲で気分を変える。そのような心身の切り替えに活用できます。クラシックのスタンダードナンバーから抽出しました。
 一方で、すべての曲には音楽科の指導内容として大切な要素が詰まっています。繰り返されるリズム、特徴的な音色、印象的な旋律、曲の形式、など分かりやすい事項に注目して確かめることにより、鑑賞の授業にも活用してください。

―最後に、音楽授業を受けもつことになった学級担任の先生方へ向け、メッセージをお願いします。

 知らないうちに基礎力が身に付く「魔法」のアクティビティには、執筆者の先生方が実践の中から体得された、音楽指導の知恵が凝縮されています。まずは1つ、2つ、3つと実施してみてください。初めは指示を通すのに少し時間がかかるかもしれませんが、先生も児童も慣れて、きびきびとできるようになるに伴い、魔法が実感されるはずです。不思議の連鎖で、学級経営にもよい影響が生まれることを期待し、願っています!

(構成:木村)
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