- 著者インタビュー
- 学級経営
合唱コンクールの指導は、年々難しさを増していると感じています。子どもたちにとって合唱表現は、古いスタイルになっていて、彼らのトレンドではなくなっています。そうした背景の中で、合唱表現にクラスの子どもたちの心が向いていくために必要なことは、それぞれの現場ごとに違っているはずです。多様な年齢層、多様な現場の先生に提案いただくことで、出来るだけ多くのアプローチの仕方、手がかりを読者の方に手渡すことを目指して編集しました。
月並みですが、一緒に歌うことです。これが全ての前提です。その上で、例えば歌詞の意味などを、しっかり掘り下げて子どもたちに伝えていくことです。楽曲の成立過程などもネットで調べればわかる時代になりました。そうした中に指導の手がかりが潜んでいますから、手間を惜しまないことです。音楽科教師としっかりつながることは、必須です。
Q2でも述べたことにつながりますが、意欲が低い生徒には、指導の前に、まず先生が歌う姿勢を見せていくことが大切です。もう少し詳しく書けば、先生が楽しく歌う姿勢を見せることです。歌えない子に関しては、個々の歌えない理由を先生がしっかりアセスメントし、一人一人と向き合うことです。歌えないことにも歌わないことにも、個々それぞれ理由があります。
Q1でも述べましたが、まさにその点が、今難しくなっていると考えています。本当に力量の高い一部の先生しか、コンクール指導を教室経営に生かすことに成功していないのではないでしょうか?コンクールという仕組み自体を見直す必要についても、本書では触れていますが、いずれにしても、結果として教室経営に生きればというような心構えで、まずは、みんなで気持ちよく歌うことを目指していければいいと考えます。行事が教室経営に直結する時代は去ったというのが実感です。
合唱コンクール指導に悩んでいる先生方に必要なことの一つは、様々な考え方や指導の形を知り、引き出しを増やすことです。本書では、それぞれの実践全体が見える形で記述いただくことで、読者のみなさんの引き出しが増えるようにと考えて編纂しました。拙著『音楽が苦手な先生にもできる!学級担任の合唱コンクール指導』の実践編としての意味合いも持っていますので、合わせて読んでいただけると、理論的な背景や具体的な指導方法もわかって、より理解が進むものと思います。