著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
インプロで、遊びを通してあたたかいクラスをつくろう!
帝京大学小学校栗原 茂
2015/8/28 掲載

栗原 茂くりはら しげる

帝京大学小学校非常勤講師。
元東京都公立小学校主幹教諭。
東京学芸大学大学院総合教育開発「表現教育」修了。
専門は表現教育(演劇、体育)。
「体育研究同志会」「獲得型教育研究会」「学びの空間研究会」その他研究団体に所属。
「心とからだ」を主な研究テーマとして、インプロやアクティビティを活用した授業づくりを行う。

―本書では、数多くのインプロゲーム&アクティビティが取り上げられています。「インプロ」とは、あまり聞き慣れない言葉なのですが、どのようなものなのでしょうか。

 インプロとはインプロヴィゼーションの略で、日本語では「即興」と訳されています。演劇、音楽や美術、ダンスなどの芸術分野全般やコミュニケーションなどの表現方法の手段として用いられています。私の出会ったインプロは、「相手にいい時間を与える」「失敗することを楽しむ」という考え方が土台にあり、学びそのものを楽しむことができます。

―先生は、「毎日インプロゲーム&アクティビティを行うことで、クラスが変わっていく」とおっしゃられていますが、特にどんな力が育つのでしょうか。

 インプロゲーム&アクティビティを行うことで、子どもたちは友達と一緒に遊ぶ楽しさや学ぶ楽しさを経験することができます。そして、遊びを通して、学習の土台となる主体性、対話力、表現力、共感力、判断力、自己肯定感を身体全体で身に付けることができます。

―本書で取り上げたインプロゲーム&アクティビティは、どれも魅力的なものだと思いますが、特にこれはおススメ!というものを教えてください。

 「ワンワード」と「4枚の写真(静止画)」です。
 「ワンワード」とは、4〜5人のグループで言葉をつなげていき、一つの文章をつくるインプロです。例えば、最初の子どもが「校庭で」と言ったら、それに続けて「サッカーをして」「シュートを」「決めた」とグループで言葉をつなげていくというものです。
 「4枚の写真(静止画)」とは、グループで協力して、ある一つの場面を身体で表現するものです。写真のように動かず、静止画で表現します。
 「ワンワード」でつくった文章の一場面を「4枚の写真(静止画)」で表現する。友達と即興でつくったお話を身体で表現することを通して、様々なことが学べておススメです。

―恥ずかしかったり、友達の目を気にしたりして、身体で表現することを苦手とする子どももいそうです。そんな子どもには、どんなアプローチをすればよいのでしょうか。

 インプロをやると自然に相手とのかかわりが楽しみになります。焦ることはありません。身体で表現する活動がすぐにできなければ、まずは子どもの話を聴いてみましょう。無理せずにできることから始めましょう。

―「インプロゲーム&アクティビティをやってみよう!」と本書を手に取られた読者の方にメッセージをお願いします。

 今、学校や教師には日々多くの難題が突きつけられています。忙しさや理不尽な要求に心が折れそうになる先生方も珍しくありません。そんなとき、インプロの「相手にいい時間を与える」「失敗することを楽しむ」という考え方は、心を穏やかにしてくれます。インプロゲーム&アクティビティを通して、自分を大切にするとともに周りの人を大切に思う気持ちが広がればと思っています。

(構成:茅野)
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