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ポイントは、「複数の視点で考えられるようにする」ということです。
一斉授業では、1つの答えを見いだす課題を提示しがちですが、協働で取り組む場合、一人ひとりが情報を持ち寄って、より高いレベルの答えを目指す過程で、生徒個人の能力の伸長が望めます。もちろん、基礎的な知識を定着させたい場合などについては、個人で取り組む課題も必要になってくるので、バランスをとる必要があります。
「生徒が疑問に思った瞬間を見とる」ということかもしれません。
同じ学習材を何度も扱ってきたり、同じ学年を何度も経験したりすると、生徒が疑問に思うことはだいたい見当がついてきます。実は、はじめからその疑問に誘い込むつもりで、わざとわからないふりをしたり、そのことに触れないようにしたりするのですが、そうすると生徒の中からふつふつと疑問がわいてきます。そんなときこそチャンスです。「おもしろいことに気がついたね。それじゃあ、そのことを考えてみよう」となるわけです。
これが、はじめから真っ向勝負で教師が課題をいきなり提示すると、生徒も意欲を削がれてしまいます。
「教えたい内容そのままの発問と、曖昧な発問をしない」という点を気をつけてきました。
この2つを両立させることは難しいのですが、教えたい内容そのままの発問では、考えに広がりがなくなり、どこかにある答えを探すような活動になりがちです。また、答えに広がりをもたせようとすると、聞き方が曖昧になってしまい、生徒は何をすればよいのか不明瞭に感じます。例えば「…を調べてみましょう」「…を説明しましょう」といった発問(指示)は、テスト問題にあるような聞き方なので、つい授業でもしてしまいがちですが、もう少し学習活動・言語活動の内容に踏み込むようにした方がよいでしょう。
この本は、私の「失敗の記録」と言ってもよいものです。
授業がうまくいかなかったり、生徒が戸惑ったりするたび、課題の提示の仕方や発問の仕方を考え直し、少しずつ改善していきました。これは、私一人の力でできたことではなく、いろいろな先生や先輩と出会い、学ばせていただいたからこそできたことです。
本書の読者の先生方にも、本書をスタートに、ご自身の目の前の生徒のための課題を発掘したり、発問を工夫したりしていただきたいと心から願っています。