著者インタビュー
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国語教師のための図解ツール活用術とは?
宮崎県小林市立小林小学校教諭内山田 博文
2015/9/10 掲載

内山田博文うちやまだ ひろふみ

1967年大阪府生まれ。鹿児島大学教育学部卒業後に宮崎県の公立小学校で勤務。平成17年宮崎県教育研修センター研究員。平成24年宮崎大学大学院教育学研究科(教職実践開発専攻)修了。現在は小林市立小林小学校教諭。

―先生が教材研究や授業づくりを図解化しようと思われたきっかけは何でしょうか。

 国語の教材研究というと教科書に書き込みをして発問を作って、単元計画を作り、1時間の授業を考えて…という流れが多いと思います。しかし、これらの行為の裏にどんな考え方や技術が潜んでいるかは他人には見えにくいものです。
 ここを図解化すると教材研究から授業づくりまでのプロセスと技術がはっきり見えるようになり、自分にとっても他の教師にとっても有益になるのではないかと考えました。

―教材研究や授業づくりを図解化することには、どのようなメリットがあるのでしょうか?

 次の3つのメリットがあると考えています。

  1. 指導内容が構造化できる→つまり、文章だけで整理するのと違って指導することが明確になるということです。指導する内容の関連も見えやすくなります。
  2. 教材研究のプロセスが鮮明になる→自分が授業づくりをする際にどんな手順を踏んでいるかを自覚できます。これは改良・改善の対象にできることにもつながります。
  3. 自分の教材研究・授業づくりの方法が他に分かち伝えられるようになる→ビジュアルなものの方がパッと見て理解しやすいので、共有化しやすいと思います。

―本書で紹介している図解ツールにはどのようなものがありますか?

 教材の構造を見える化するツールとして「逆ピラミッド図」「フレーム図」「バランススコアカード図」などを含む6つの図解を取り上げています。また、授業づくりを見える化するツールとしては「マトリクス図」「ポジショニングマップ図」「フィッシュスタイル図」などを含む7つの図解を取り上げています。
 

―具体的にどのような場面でどのような図解ツールが使えるのか、教えてください。

 教材研究を始める際の指導事項や目標の絞り込み段階では「逆ピラミッド図」が有効です。この図がフィルタリングの役目を果たしてくれます。
 教科書単元を丸ごと分析する際には「フレーム図」を使い、枠に合わせて教材を分割していきます。これで単元全体を見渡しつつ授業のポイントを見つけ出せます。
 物語文や説明文で授業を構想する際には、「イメージマップ図」で教材活用の可能性を探り、「発問マトリクス」を使って様々な角度から良質の発問を見つけ出します。これらをまとめて授業の全体像をつくる時には「フィッシュボーン図」「フィッシュスタイル図」を活用して授業設計図を描きます。 

―最後に全国の先生方に、メッセージをお願いします!

 国語の教材研究や授業づくりというと、“文章に始まり、文章で終わる”というイメージがあります。そういう固定観念に縛られず、もっと自由な発想でよりビジュアルな方法を開発していくことも大事だと思います。伝統的な方法も大切にしながら、より新しい方法を求めていくための一助として本書の図解化が活用されることを願っています。

(構成:木山)
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