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生徒自らのアイデアを生かすようにします。
最初に「水中の微小生物を観察しよう」「種子植物の花のしくみを調べよう」といった程度の大まかな課題を提示します。これは、生徒全員に一斉に示します。
そして、いくつかの候補の生物のうちから生徒がスケッチする植物を選択させます。さらに、観察を進める中で、細かくスケッチをする対象を絞り込ませます。おしべのスケッチをしている生徒のとなりで、がくのスケッチをしている生徒がいるというような状況になります。教師は、観察を開始したら机間指導を繰り返し、かきかけのスケッチを確認しながら小まめに声をかけます。
生徒からすれば、自分が選んだ対象を自分だけがスケッチすることになるので学習意欲が高まります。ちょっとした生徒の提案やアイデアが授業で積極的に取り上げられていくと、生徒の自己効力感が増し、能動的な学習姿勢が高まります。
注意したいのは、観察可能な課題をいくつか示して「できる人は全部やろう」としたり、分担として割り振ったりしないことです。教師が観察対象を指定するのではなかなか意欲は高まりません。
観察・実験器具の基本操作に習熟するためには、訓練が不可欠です。正しく取り扱うことができるようになるまで、教師はためらうことなく指導を繰り返しましょう。
その訓練の中に、本書の「顕微鏡の使い方を相互評価しよう」(課題)の事例のように協働性のある学びを導入したり、また「ガスバーナーを分解しても火がつくでしょうか?」(発問)の事例のように意外な現象や事象を演示したりすることが考えられます。
単に用語を知っているというだけではなく、そこから一歩進んで用語を活用させる課題を提示します。具体的には、用語の関連を図解させたり、用語を使って文章をつくらせたりするのが効果的です。
それだけでなく、知識の関連づけやまとまりを問う形式の課題や発問を意識すると授業の深まりが増します。例えば、「物質・分子・原子という3つの語句を使って、文をつくりなさい」という課題では、それぞれの語句がもっている概念をとらえ、それを階層化することが要求されます。
学習のまとまりごとのテストや定期テストでもこのことを意識とするとよいでしょう。
最近やってみて、意外なほど生徒の反応がよかった授業があります。それは、レーザーポインタを使って、プラネタリウムと同じように実天の星を指し示して解説する授業です。林間学校のキャンプファイヤーの後に行ったこの授業は、ダイナミックで、生徒からも教員からも、「楽しい」「わかりやすい」と好評でした。
本書が課題や発問を磨く一助になり、毎日の授業でも生徒からこんな素朴な反応が得られるようになれば幸いです。