著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
楽しみながら成長できる、そんなあそびのアイデアです
子どもの心と発達の相談ルーム「ここケット」代表大畑 豊
2015/10/1 掲載

大畑 豊おおはた ゆたか

子どもの心と発達の相談ルーム「ここケット」代表 臨床心理士
大阪教育大学障害児教育大学院卒 その後、大阪府内で複数の市で教育相談を10年以上担当。現在、保育園・幼稚園〜高校生までのスクールカウンセラーをする傍ら、「ここケット」では、保護者の相談、子どものカウンセリング、ソーシャルスキルトレーニングなどを行っています。また、月1度、保護者・教師のためのセミナーも行っています。

―学級あそびを紹介した本がたくさんある中で、本書の特色を教えてください。

 私は、ソーシャルスキルトレーニングや、大学生や他の方々を対象にした研修などでグループワークをよく実施しています。その中で楽しめてなおかつ効果があったような活動を取り上げてみました。学級運営に関しては、学校現場にいる先生方がプロだと思っていますが、臨床心理士として学校現場をたくさん見ている中で、学校現場に役に立って子どもも楽しいと思えるような内容を意識して紹介したのが本書の特色です。

―臨床心理士としてさまざまな学校をまわる中で感じることや、アドバイスをぜひ教えていただけますか。

 学校現場で働いておられる先生方は、日々、生徒一人一人に真剣に向き合いながら努力されています。また、授業以外の業務も多岐にわたり、日々あっという間に過ぎ去ってしまいます。そんな先生方に対して、いろんなことを1人で抱え過ぎず、私のような専門家をうまく利用してもらえたらと思いますし、お伝えしたことを先生なりにアレンジしてもらえたらうれしいです。

―本書にはさまざまなあそびが収録されていますが、2学期中盤の10月におすすめのあそびをご紹介いただけますか。

 読書の秋なので、「ゆっくり読書」などいかがでしょうか。1日、1行でも3行でも1ページでもいいから、文章の意味を味わいながらいっしょに読んであげてほしいです。1つの文章、1つの単語をじっくり子どもと確認していきながら読んでみると、子どもは、何気ない言葉を、実は勘違いしていたり、困っていたりすることがよく分かります。子どもの好きな本を大人とゆっくり読むことは、普段の授業ではできない体験なので、ぜひ、試してもらいたいです。

―本書は、通常学級でも支援学級でも取り組めるのが魅力ですね。発達障がいの子どもがいる通常学級で取り組む場合に、心がけた方がよい点などありましたら、アドバイスをお願いします。

 まず、発達障がいや、そういう傾向がある子どもかどうかを感覚的に理解できるようになるまでに時間がかかります。そのために、先生にとってはささいなことでも、気がつけば子どもとの関係がこじれていることがあるので、よく子どもの様子を観察してみてください。 特に曖昧な表現や、たくさんの指示を言葉だけで指示したときどうなのかを気にしてください。授業や行事などの予定を組むときに、その子どもの顔が浮かんできて、先生の中で起こりそうな問題を予測でき、それに対してどうしていけばいいのか? 時には、他の先生と話してみるのもよいので、考えて試してみることが大事だと思います。

―最後に、全国の先生方へ向け、メッセージをお願いします。

 日々の学校での活動お疲れ様です。私は、そういう日々努力されている先生に対して、何か教えるという立場にあるとは思っていません。子どもに関わる専門家同士であると思っています。だから、私が形にしてきたものが、少しでもアイデアのかけらになってもらえたらと思います。もし、私のアイデアのかけらが、何か先生方にお役に立てたのなら、その結果から、また新しいアイデアを提供できる。そんな関係になれたらと思っています。子どもと関わるということは、種を蒔くことに似ています。今、したことがすぐに効果がでるか分かりませんが、関わっている子どもの未来が少しでも、豊かなものにできるお手伝いをいっしょにしていきましょう。

(構成:木村)
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