- 著者インタビュー
- 音楽
たとえば、読書を考えてみましょう。読み聞かせで絵本や童話で親しんで、本に興味をもった子どもが、文字を読めるようになることで自ら読書をして世界を広げていくことができます。音楽でも、楽譜を読めるということは、好きな音楽を自ら進んで読んで歌ったり楽器で演奏したりすることにつながります。また、お友達と一緒に楽譜をもとに、合唱したり合奏したりすることはとても楽しいことです。楽譜が読めるようになることは、音楽の楽しみが大きく広がります。
音や音楽の楽しさとともに、無理なく楽譜に親しんでほしいと考え、いろいろな活動とともに読譜力や記譜力が高まるように構成しました。学年別に例示していますが、児童の実態に応じて、自由にアレンジして授業に生かしてください。たとえば、高学年の児童に中学年で紹介したドレミファソを使って2小節の音楽をつくって記譜する活動を行ってから、高学年で紹介している音楽づくりと関連させた活動につなげるとうまくいきます。
まずは、曲を聴くときに楽譜を見てみましょう。旋律をなぞって音の高低を実感しながら楽譜に親しんでください。その次に、何拍子の曲であるか、速さはどのくらいに指示されているか、使われている音符や休符は何があるかを確認しましょう。「聴きながら読む」「読みながら聴く」「歌いながら読む」「読みながら歌う」を繰り返すと楽譜が身近に感じられるでしょう。「写譜」もおすすめです。お好きな曲を写してみましょう。いろいろな記号の意味合いが一気に理解できます。
2つめの質問でも触れましたが、ワークシートに取り組みやすい下の学年のものと高学年向けのものを取り入れて、読める経験を増やすというのはいかがでしょうか。また、ワークシートの大きさでも取り組みやすさが違います。思い切ってA3判くらいに拡大したものとA4判にしたものを用意して、児童にやりやすい方を選ばせてもよいと思います。そして、鍵盤楽器や弦楽器を習っている児童は圧倒的に読譜力・記譜力が高いことでしょう。その児童たちを「リトル・ティーチャー」として、グループの中で教える役割を担ってもらうという方法がありますね。
この本は、出会った小学校の先生や保護者の方の、「子どもたちが楽しみながら、楽譜が読めるようになる本がほしい」という声を受けてつくりました。はじめて音楽を受けもつ学級担任の先生に使いやすいよう心掛けましたので、音楽が苦手な先生も安心してお使いください。