著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
音楽授業の悩みを一緒に解決します!
筑波大学附属小学校教諭倉 弘光
2015/11/20 掲載
 今回は倉弘光先生に、新刊『倉弘光の音楽授業 必ず身に付けたいテッパン指導スキル55』について伺いました。
倉 弘光たかくら ひろみつ

筑波大学附属小学校教諭。
北海道旭川市出身。北海道教育大学卒業。ニューヨーク・ダルクローズ音楽学校卒業(リトミック指導者国際ライセンス取得)。北海道公立小学校を経て現職。現在、筑波大学、日本女子大学、共愛学園前橋国際大学の非常勤講師を兼務。教育出版教科書著者。NHK「おんがくブラボー」企画協力委員。文部科学省・国立教育政策研究所の各種協力委員。音楽授業ラボラトリー研究会代表。全国各地でワークショップの講師を務める傍ら、執筆活動などにも取り組んでいる。
〈著書〉
『わかるからおもしろい!音楽力がアップする授業レシピ』(明治図書)、『〔共通事項〕が見える 子どもがときめく音楽授業づくり』(東洋館出版)、『音楽タンタカタン』(学事出版)など多数

―本書は、これまで何冊もある先生の著書とは一味違うそうですね。どのようなところが新しいのでしょうか。

 これまでの著書では、実践例など音楽の新しい授業アイデアを中心に載せた本づくりをしてきました。どちらかと言うと、音楽専科の先生向きの本が多かったかもしれません。しかし本書は、音楽の授業を進める際に大切にしたい基本的な考え方を綴ったり、日ごろの音楽の授業で困っていらっしゃることにお答えしたり、また一方では音楽を専門に研究されている方にも改めて音楽の授業研究の意味について考えていただけるような事柄を書いたりと、音楽の授業に向き合うための基本的なスタンス、スキルを中心にと心がけて書きました。

―冒頭に、先生のある日の授業がマンガで紹介されているのも魅力ですね。なぜ冒頭で、授業の様子を丸ごと収録したのでしょうか。

 本書では、音楽の授業に向き合うための基本的なスタンス、スキルを55集めて収録しました。しかし、その55のスタンスやスキルが、授業のどのような場面で実際に生かされているのかは、本書を読むだけではイメージしにくいかな……と思い立ったのです。そこで思いついたのがマンガによる授業場面の再現です。本書には2時間分の授業をマンガで表現しました。そのところどころで、本書の中に書かれているスタンスやスキルが生かされていることも明示してあります。マンガと本文と行ったり来たりして読んでいただけるとうれしいです!

―領域・分野別のスキルを紹介している中で、「体を動かすこと」の項目が設けられているのが特徴的ですね。音楽において「体を動かすこと」の重要性を教えていただけますか。

 本書でも書いていますが、「体を動かすこと」は、学習指導要領にも明言されています。しかし、なかなかその方法や価値については、全国に広まっているとは言い難い状況にあると思っています。私は、教師になって25年になります。その間、ずっと音楽の授業に体を動かす活動を取り入れてきました。そこで子どもたちが見せてくれた生き生きとした姿、音楽を真に楽しんでいる姿、音楽と一体になってしっかり学んでいる姿を目の当たりにしてきたのです。この重要性やよさを是非全国の先生方に知ってもらいたいのです。体を動かす活動は、意欲など情意面だけではなく、コミュニケーションの問題、音楽そのものの学びに寄与するという点、またアクティブ・ラーニングにも直結するという、さまざまな点において非常に大切なものなのです。

―先生は全国で研究会やセミナーを開催されていますが、現場の先生方からよく受ける質問を教えていただけますか。それに対するアドバイスもあわせてお願いします。

 よく受ける質問……。「評価」の問題でしょうか。例えば、音楽づくりではどのように評価するのか、とか、鑑賞で身体表現などをしたときに何をどのように評価しているのか、という質問は多いと思います。みなさん悩んでいらっしゃるのですね。この答えも本書にズバリと書きましたのでぜひお読みください。このような質問をいただいたときに、必ず言うことは、
「私たち教師は、評価のために授業をしているのではないので、まずは子どもが飛びついてくるような楽しい授業づくりについて悩みましょう」
「評価については、それからです!」

―最後に、全国の先生方へ向けメッセージをお願いします。

 今、音楽の授業に悩みをおもちの先生は多いと聞きます。ご自身が音楽が苦手であるとか、思うように子どもが歌ってくれない、音楽づくりや鑑賞の授業をどのように進めたらいいのかわからない……というのです。また音楽専科の先生にしても、学校にお一人という状況があり、研究のことで悩みが多いと聞きます。そのような先生方とご一緒に考えていきたい……というのが私のスタンスです。本書を通して、またいろいろな機会に先生方とお話しできればと思います。ご一緒に話しましょう! 子どもたちのこと、音楽のこと……。
 

冒頭顔写真提供:西原樹里

(構成:木村)
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