- 著者インタビュー
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理由はシンプルです。社会科嫌いの子どもに社会科を好きになってもらうにはどうしたらいいか、それを知ってもらいたかったからです。それから、それを通して教える先生にも社会科を好きになってほしいからです。社会科のエキスパートだけでなく、普段授業で悩んでいる先生にも読んでほしいです。
二つあります。一つは、社会科の醍醐味である「知らないことを知ること」を味わわせるようにしています。その時は、教材を工夫して惹きつける方が効果的です。それを本書では紹介しています。
二つ目は、そういうことにもなかなか興味を示さない子に対して、違うものとコラボして興味を引くことです。「社会科×○○○」という形で紹介しています。例えば、ゲーム、テレビ番組ですね。子どもが好きなものを掛け合わせるところがポイントです。
たくさんあるんですけど、6年生の「日本の国際貢献」で、自衛隊の海外派遣の是非をめぐって討論したことが思い出されますね。「貢献しないと日本が孤立する。」「国のために人が死んでもいいのか?」と、激論が交わされました。ちょうど、自衛隊のイラク派遣があった時期なので、子どもたちにとっても身近に感じられたのだと思います。
この授業は、ネタらしいネタがなかったので本書には載っていませんが、本書に載っているものの中では、「ビフォー・アフター」ですね。実にいいマッチングで、子どもたちもすごく楽しんでいました。番組にしていた子どもが、そのまんまパクって「所さ〜ん。」「ユンソナさん。」と呼び合っていたのがすごく面白かったですね。
やはり、「知らないことを知ること」ですね。「へぇ〜。」っていうやつ。特に自分が思い込んでいたことが違っていた時は、きっと脳内でアハ体験が起こってます。それが、社会科の面白さです。「縄文人はクッキーを作っていた。」なんて、「えーっ」て思いませんか?
それから、社会は、さまざまな考えの上に成り立っている、そういうことを知ることじゃないかな、って思っています。一つのことについてもいろんな見方があって、それについてクラスで考えて話し合うことで、自分の考えが変化していくことがもう一つの社会科の魅力だとおもいます。
子どもの頃、社会科を暗記教科として学んできた先生は、それほど社会科を好きじゃないと思います。だから、社会科を好きになって、先生自身が『楽しい』と思ってほしいですね。先生が楽しいと思うと、いろいろな仕掛けをしたくなります。子どもが笑っている授業って最高じゃないですか。そんな社会科の授業を作っていってほしいです。この本で、きっかけをつくってもらえたら嬉しいです。
それから、社会科の重要性に気づいてほしいです。今に、勉強で知識を身に付けることはそれほど重視されなくなります。今は行動情報化社会なので、ネットでちょっと検索すればいろいろな情報を入手できるからです。大事なのは、知識を得る術をもっていることや、それについて自分の考えをもって判断する力をもつことです。それを身に付けるのに最適なのは社会科なのです。