- 著者インタビュー
- 学級経営
理想の実現には、戦略が必要です。戦略は、主に@ゴールイメージ、Aビジョン実現のための具体的行動、B評価の3つから成り立ちます。本書の構成は画期的です。本書を開いてみて下さい。通常、こうした書籍は4月から始まります。しかし、本書のスタートは3月のゴールイメージです。各学年のゴールイメージは、「チーム」という概念を受け止めて、それぞれの執筆者(1年:近藤佳織、2年:宇野弘恵、3年:岡田広示、4年:橋健一、5年南 惠介、6年:松下 崇)が具体的に設定しました。そして、それを実現する1年間の手立てが、まるごと示してあります。手立てだけでなく、それを支える考え方も示してありますから、書籍に示してある場面以外にも応用が利きます。
さらに、集団が順調に育っているかを確かめることができるチェックリストがついています。学力は定期的に評価がなされますが、学力を生み出す集団づくりについては振り返りがなされていないのが現状です。本書は、それぞれが各学年の学級づくりの戦略書になっています。
ズバリ、教師と子どもたちの個人的信頼関係づくりです。集団を形成するルール指導もあたたかな関係性の育成も、また、ゴールイメージの実現も全てここから始まります。ここを抜きに、ゴールイメージだけを追究すると、学級づくりという教師と子どもたちの協同作業がいつのまにか、教師の一人旅に陥ります。
Q1にも書きましたが、学力の定期点検はあります。しかし、学力向上の基盤は学級づくりだと言われながら、その定期点検をしてない場合があります。安定した学級経営のためには、学級づくりの定期点検は欠かせません。学級ができていれば学習の遅れはいくらでも取り戻せます。しかし、学級づくりの遅れは取り戻すことは甚だ困難なのです。
教師の仕事は高度な専門職です。常に学び続けることで変化への対応能力を身につけていくことが、教師として成功するためには必須です。自分自身の成長戦略が必要なのです。執筆者たちは、最初から成功した教師だったわけではありません。修羅場をくぐり抜けて来たからこそ今があるのです。成功し続ける教師になるためには、自分を成長させるためのシステムを持つことです。そのシステムの中核をなすのが、自分の実践を他者目線で評価する力です。
教育書を読み、他者の助言を聞き、自分の在り方をふり返るという地道な営みを繰り返すことにより成長はもたらされます。本書は、自分をふり返る鏡となります。自分の実践と常に比較しながら本書を読んでみて下さい。自分の強みや課題が見えてくることでしょう。
学級担任の仕事は最低でも1年間の長きにわたります。また,膨大な業務をこなさなくてはなりません。喜び、焦り、迷い、いろんな感情のなかで仕事が進むことでしょう。しんどい時間もあるかもしれません。しかし、本書は、365日読者のみなさんをサポートするパートナーとなることでしょう。定期的に本書を開き、羅針盤のように行く先を確かめて見て下さい。きっと勇気を見つけることでしょう。