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- 学級経営
学級集団の在り方はルールが決めます。荒れているクラスは、ルールが崩れています。また、子どもたちが生き生きと学んでいるクラスにはよいルールが定着しています。つまり、よいクラスにはよいルールがあるのです。集団づくりの成功は、よいルールを定着させることができるかどうか鍵です。本書は、よいクラスをつくるルールと指導の方法が小学校、中学校別に具体的に示されています。
ルール指導は、各種スキルトレーニングの指導過程と似ています。@そのルールの必要性の共通理解 Aモデリング Bリハーサル Cフィードバックの繰り返し。山本五十六の有名な言葉「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」が、とても端的に、その指導過程を表しています。しかし、子どもたちの発達段階は多様です。その指導の実際をプロの実践家たちが本書では教えてくれます。
ルールの定着には主体性が大事です。ルールは子どもたちが、教師の居ないところで守ったときに初めて定着したと言え、また、そこでルールとして機能したと言えるでしょう。人に言われたことと自分で決めたこと、どちらが守る気になるかと言えば後者です。また、子どもたちの話し合いで決めると、互いに声を掛け合ったり、助け合ったりしてルールを守ろうとするので、子どもたちの関係性も深まります。
ルールをルールたらしめるのは、ペナルティの存在です。ルールを破ってもペナルティがなかったら、単なるスローガンになります。しかし、実際の教室で子どもたちに罰を与えることは教育的ではありません。だから、ルールを破った場合には、きちんと理由を示して語る、やり直しをさせる、また、出来ている子をほめるなどの明確な対応をすることが必要です。そこはプロたちが実にうまくやっています。本書をご覧下さい。
発達段階に応じて、子どもたちに教えるという指導から、委任するという指導に切り替えていくことが必要です。教師がヒーローになって、教えて取り締まっている限りは子どもたちが自らルールを守るクラスにはならないでしょう。教師が出なくても、ルールが守られるクラスをゴールイメージとして描いて指導をします。
ルールの指導は、一年間いつでもできますが、後になればなるほど、時間がかかるようになります。適時性で言えば、1学期です。できたら、6月まで。まずは、本書を参考にして自分のクラスに必要なルールを書き出してみて下さい。そして、子どもたちに出会ったら、その実態と対話しながら必要なルールを指導してみて下さい。指導方法も本書にはヒント満載です。実力ある実践家が、有効な指導法、そして失敗しそうなポイントも示しています。かなり使える一冊になっています。