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先人が、どのようにして伝統と文化をつくり、発展させてきたかを知ることは、子どもたちの教育にとって大切なことです。日本には、昔からある伝統行事、豊かな文化、誇るべき技術等、多くのよさがあります。私たち教師がそれらを子どもたちに伝えているでしょうか? その問題意識からこの本書は生まれました。中には、「伝えたくても自分自身がよくわからない」という方もいるかもしれません。そのような先生にこそ読んでいただきたい本です。
一つの項目について見開き2ページでまとめました。それらは、2〜3分程度で子どもたちに読み聞かせできるものです。朝の会や帰りの会はもちろん、関連する授業や給食時間等で短時間に話すことが可能です。決して多くの時間を割く必要はありません。ちょっとした時間に活用していただければと思います。また、学級通信等に「ちょっとしたエピソード」として、この本の内容を紹介することもできます。
「お供えでお月見を楽しむ」ですね。毎年、このお話はお月見の日にしています。子どもたちも、その日の行事ですから興味をもって聞きます。「初めて知ったよ」という反応をもらうと、話した甲斐がありますね。いつだったか、学級通信にその話を掲載したときには、時の同僚に「こういうお話を教室で話すのは大切なことですね。私も知らないことがありました」と感想をいただきました。その後、その同僚にとっても毎年伝える話になったようです。
今は情報量があふれる時代ですから、その気になればネタは簡単に見つけることができるでしょう。たとえば「年中行事」というキーワードで検索サイトに入力すれば、解説サイトがいくつも出てきます。ただ、「子どもたちに伝える」という点を重視するのなら、いくつかの要素がそのお話の中になければいけないと思います。たとえば、「子どもたちにとって身近であること」「『ヘーッ』と思わず子どもたちがつぶやくようなエピソードがあること」「興味が広がりそうであること」といったことです。その観点で見ていくことで、価値あるお話になっていくと思います。
30代の頃から「地域のよさ・日本のよさを伝える授業」を大切にしてきました。それと共に、授業以外でもそれができないかと考えてきました。その一つの答えが、子どもたちに伝えたい小話を作り、それを教室で話すことでした。子どもたちは興味を示し、家庭でも話題になることもありました。ぜひ教室に一冊常備して、ご活用くださればと思います。
※写真撮影:平井良信(Kaya)