著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
学び合って楽しく泳ぐ水泳授業を!
東京都公立小学校永瀬 功二
2016/5/13 掲載

永瀬 功二ながせ こうじ

昭和42年東京生まれ。
東京学芸大学卒業(水泳部所属)。
平成元年より東京都で小学校教員として勤務。
東京都小学校体育研究会水泳領域部会で、仲間とともに小学校の水泳授業の指導について研究・実践を進め、現在に至る。
平成22年7月10日朝日新聞「花まる先生 公開授業」で水泳授業の実践が紹介される。(記事の内容は、朝日新聞社編『感動する授業』にも掲載)

―本書の書名は、『ペア・グループの力でみんな泳げる! 水泳指導アイデア事典』です。水泳の授業というと、泳力別の授業というイメージがある方も多いと思いますが、ペアやグループの活動を取り入れることで、どのように水泳授業は変わるのでしょうか。

 子どもは「泳げない」状態から練習を始めるので、無我夢中で自分の姿勢や動きを意識する余裕がなく、できているのかも自分ではわかりません。そこでペアの友達が補助をすると、姿勢が安定し、動きを意識して練習ができるので、大変効果があります。また、グループで学び合うと、友達に応援をされたりアドバイスをされたりするので、大変励みになります。その結果、子どもにとって「できる、わかる」楽しい水泳の授業になるのです。

―本書には、ペアやグループで行う様々な活動が紹介されています。特に、崖の上のポニョやアイドルグループ嵐の曲に合わせて行う「リズム水泳」は楽しそうだと感じます。「リズム水泳」の魅力を改めて教えてください。

 リズム水泳は、リズミカルな曲に合わせて、友達と一緒に水に潜ったり浮いたり、手のかきや足のけりなどの泳ぎにつながる動きをしたりします。子どもは、音楽に合わせて運動したり、友達と一緒に活動したりすることが大好きです。授業の始めにリズム水泳を行うと、低・中学年の子どもも水泳が苦手な子どもも、今もっている力で水中で活動する楽しさを味わうことができ、「リズム水泳大好き!」という声が聞かれる大変効果的な活動です。

―本書では、クロールと平泳ぎの段階的な指導法として、「1、2、パッ、4」が紹介されています。このかけ声のポイントを教えてください。

 泳げないうちは、無我夢中で「がむしゃら泳ぎ」になりがちですが、水泳は水をかいたり蹴ったりして進む運動なので、水を捉えるためには「ゆっくりとした動き」が大切です。そこで、クロールではけ伸びの姿勢から「1(片手をかく)、2(前に戻す)、パッ(もう片方の手をかきながら呼吸をする)、4(顔と手を戻す)」と1つ1つの動きをかけ声にして、ペアの友達に声をかけてもらいながら練習することで、動きを身に付けやすくなります。

―ところで、水泳の授業では、安全指導が特に重要になってくると思います。本書でもふれられていますが、改めて安全指導のポイントについて教えてください。

 まず環境面です。例えば濡れた素足で歩くプールサイドに危険な箇所やすべりやすい箇所がないか、事前に裸足で歩いて安全確認をします。次に個人差への配慮です。同じ水温・気温でも、子どもによって体調の変化は様々なので、常にペアで健康観察をさせます。活動中は安全監視が大切です。教師のうち1名はプール全体を見渡せる位置に立って安全監視をします。事前に活動ごとの役割を分担し、教師全員で確認しておくことが大切です。

―最後に、本書を読んで「今年は楽しい水泳授業をしよう!」という読者の方にメッセージをお願いします。

 楽しい水泳授業のために、まず子どもが「今日はこれが楽しみ!」と思える活動を取り入れましょう。本書には、リズム水泳や、グループで楽しめる活動がたくさん載っています。次に、どの子も「今日はこの泳ぎができたよ!」という達成感が味わえる練習を工夫しましょう。本書には、ペアの補助や声かけを活用した段階的な練習と、水泳の特性をやさしく解説した「なるほどポイント」がたくさん載っていますので、ぜひご活用ください!

(構成:茅野)
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