- 著者インタビュー
- 道徳
いかにその授業が生徒の心に響くか、行動を変える力をもつようにするかです。そのために、ベストの教材を準備すること、生徒の思考が活性化するような展開にすることを大切にしています。このことは生徒指導上課題のある生徒への「語り込み」と相通じます。形式的に生徒に話しても見透かされ、生徒の心は変わりません。とっておきの具体的な語りで揺さぶり、心にへばりつくよういろいろ工夫します。似ていると思いませんか。
中学校の道徳授業の場合、どの教材を使うかで授業が成功するかが大きく左右されます。「心に響く授業を子どもたちに準備したい」という教師の想いが教材開発につながっています。教材開発のハードルは、開発実践を追実践することでその要領を覚えられます。「この素晴らしい教材を使いたい」「なぜ自分は素晴らしいと思ったのか」「そのことに気づかせる発問を一つ考えてみよう」というステップで教材開発ができます。
どんなによい教材でも、一方的に聞くばかりでは生徒の脳は活性化されず、心にへばりつくことがありません。展開を工夫することとアクティブ・ラーニングの視点による学び方の工夫が大切です。協働的な学びは生徒の五感をフルに動かすことになり、そこからよい考えが生み出されることもあります。1+1+1+1が4でなく、5にも6にもなります。昨今の課題である「コミュニケーション能力の育成」にもつながります。
「教科だからねらいとした内容項目を教えないと……」「教科書ができるのだから、これを使う。教材開発はしなくても……」と、すでに自らを縛っている風潮が少し感じられます。これでは逆行ですね。教科書にも授業展開にも教師が創意工夫できる余地が必要です。今までの道徳授業のよさを認めつつも、考え議論する末に「合意形成」が許されるのか、行動化まで引っ張るのかなど、可能性を模索していきたいと思います。
自分の道徳授業を受ける生徒のための教材はベストなものを用意したい。そのような教師の純粋な思いが教材開発の原動力になります。そして必ず学級づくりや生徒指導にとてもよい効果を生むものです。それを体感したら道徳授業研究を止められなくなりますよ。教育サークル「道徳のチカラ」はそのような同士を待っています。各地での研修会や機関紙、メールマガジンやホームページなどでぜひ共に学び合いましょう!