著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
情熱なしに教師の仕事は成り立たない!
奈良県公立小学校教諭土作 彰
2016/7/22 掲載

土作 彰つちさく あきら

1965年大阪府八尾市生まれ。
1990年より奈良県の小学校教員となる。初任者の時に学級が上手くいかず、打開策を求めて全国のセミナー行脚を始める。10年目までとにかく授業ネタの収集に明け暮れるが、何かが足りないと気づく。
2001年に群馬の元小学校教師深澤久氏の学級を参観し衝撃を受ける。以来、教師に必要な「哲学」論を研究。
「子どもを伸ばしてこそ教師」とアツく情熱的な指導を続けてきている。

―本日は真夏日、猛暑の中、インタビューにご協力感謝します…が…本書と先生まわりは、さらに3度くらい気温が高いようです。アツク「教師にとって情熱は必要」と断言されていますが、なぜ「情熱」が必要なのでしょうか?

 これはどんな職業にも言えることだと思うのですが、収入がいいからとか労働環境がいいからとか、そんな甘い考え方ではこの世の中通用しないと思うのです。きっと長くは続きません。ではどんな思いが大切かと言えば、これはお客さんの幸せを願うことです。教師で言えば子どもや保護者の幸福ですね。そのためには教師としての力量を高めなければならない。そのためにならお金には糸目はつけないくらいの投資意識が大切です。その投資意識を持てる人が「情熱的」と換言してもいいと思います。

―なるほど。私利のためではなく、人のために働いてこそ…なのですね。「学び続ける『情熱』が教師をプロにする」というのも、子どもたちの幸せ、つまり力を伸ばすために、具体的に先生はどんな研鑽・投資を行われてきたのでしょうか?

 投資額は1200万円を優に超えているかと思います。特に教職10年目までに1000万円は使いました。私は大雑把で、面倒くさがり屋で、最も教師に向いていない人間やという自覚が今でもあります。だから早くまともな授業ができる教師になりたかった。ネタや指導法を可能な限り集めるために日本全国を行脚しました。要は才能のない人間が教師としての力を高めるために無駄遣いをしてきたとも考えられますが(笑)。
 これはある意味「異常」な研鑽法かもしれません。そこまでできなくても、まずは学び合う仲間とサークルをつくり、情報交換をすることが大切だと思います。一人で学ぶより、何倍も力を高めることができます。

―すごい額ですね。そんなご自分に厳しい土作先生だからでしょうか。子どもへの徹底的な指導についても本書で書かれていますが、「大目に見ない」指導をされるのはなぜですか?

 イヤイヤ。これね。誤解しないでほしいのですが、配慮を要する子は当然「大目に見ます」し、クラスの様子を見ながら行っていますよ(笑)。
いきなり子どもの様子もわからずにガンガン指導するわけではありません。そんなことをしたら、それこそ学級崩壊しかねません。
 その子なりに一生懸命やる、妥協を許さない状況を1年後につくることを目指していのです。
 子どもは手抜きの天才です。何も教えなくても自分が楽するための方法は身につけているものです。でも、手抜きを許すとその集団はどんどん「群れ化」していきます。群衆は傍観者の集まりです。授業はシラケた雰囲気になり、いじめられている友達がいても見て見ぬふりがまかり通るようになります。これは一つの目標に向かって成長していくべき学級の姿ではありません。
 手抜きは学級を堕落させます。学級経営の上で最も警戒すべきものだと思います。だから手抜きを許してはならないのです。

―なるほど、恐怖政治とは違いますね。一生懸命・楽しく学んで人間的に成長できる場は宝です。授業づくりの項目では、子どもが熱中しそうなアイデアをいろいろとご紹介くださっていますが、その中で特にオススメのものは何でしょうか?

 そうですね。各教科いろいろなアイデアを紹介しましたが、1つあげるなら、社会の導入プランをお薦めします。子どもたちには授業開始の15分間程度をルーティン化してあげると授業モードへスムーズに入っていくことができます。ぜひ、本書をご覧ください。

―最後に読者の先生方へアツイ!アツイ!アツイ!メッセージをお願いします!

 現場は楽しいだけではありません。辛いこともたくさんありますよね。子どものこと、保護者のこと、同僚のこと…。きっと、ほとんどの先生方が何かしら傷つき打ちのめされるような経験をしてきたことと思います。でも自分が命をかけて就いた教職です。
 簡単に潰れてたまるか!と速やかに立ち上がりましょう。できればその立ち上がるプロセスを楽しんでいきたい!その時に必要なものが「情熱」なのです。
 もちろん、情熱だけではこの仕事はやっていけません。でも情熱なしに教師の仕事は遂行できないこともまた事実です。
 たとえどんな厳しい状況になっても「情熱」さえあれば教師として再起、三起できるのです。さあ、明日から情熱的に目の前の大きな壁に立ち向かっていきましょう!この本がそのための一助となってくれたらこんな嬉しいことはありません。

(構成:佐藤)

コメントの受付は終了しました。