課題解決学習や大きな言語活動・小さな言語活動でアクティブ・ラーニングを実現しよう!
2016/7/28 掲載
- 著者インタビュー
- 国語
今回は吉川芳則先生に、新刊『アクティブ・ラーニングを位置づけた中学校国語科の授業プラン』について伺いました。
―本書には中学校国語科でのアクティブ・ラーニング(以下AL)について理論と実践の両方が紹介されています。いろいろな見方のできるALですが、本書ではどのようにとらえていますか。
目指すのは、生徒が楽しんで言葉の学び(言語活動)に取り組むこと。「話すこと・聞くこと」「書くこと」「読むこと」の積極的な導入(言語活動の「量的充実」)とともに、それによってどう思考力、判断力、表現力を伸長できるか(言語活動の「質的充実」)。そこが本書におけるAL型授業づくりの柱です。
―また本書ではALを深い学び、対話的な学び、主体的な学びとともに「課題解決学習」「大きな言語活動」「小さな言語活動」にわけてとらえているのですが、それぞれどのような内容なのでしょうか。
ALが目指す学びは、国語科では言葉に関わる課題を解決する探究的な学習(課題解決学習)でこそ深くなされます。そこに欠かせない「調査・研究」「発表・報告」等の活動を「大きな言語活動」としました。一方、日々の授業で行いやすい「ペア・グループでの話し合い」「音読」等の活動を「小さな言語活動」としています。これらの活用によっても「質的充実」を保障することは可能です。
―実践例では「思考力の具体」を意識した課題設定や発問の他、ペア・グループ学習が多数紹介されています。こちらはどのように活用することができますか。
他者と意見交流することで、自分の考えをはっきりさせることができます。自分の捉え方に不足している面にも気づかされます。ただし、何について、なぜ交流するのか、課題や意義を明確にして取り入れること。そうでないと雑談、休憩の時間になってしまいます。
―ALについては様々な書籍も刊行されていますが、現場で授業をする先生方にとって一番大切にすべきことは何であると、先生はお考えになりますか。
生徒主体の言葉の学びを実現するには、言語活動の「量的充実」は必要です。しかし、「質的充実」のステップに必ず進むこと。教材のよさ、言葉のおもしろさを発見させるには、どこで、どのような言語活動こそがなされるべきか。そこに常に目を向けられる授業者に、と願います。
―最後にアクティブ・ラーニングを取り入れている国語の先生方に一言お願いいたします。
その教材の本質的なよさやおもしろさに触れさせ、気づかせることが何より大事です。教材にじっくり取り組み、よく思い、よく考えることができる、多様な「話すこと」「聞くこと」「書くこと」「読むこと」の言語活動を開発していただきたいと思います。
(構成:木山)
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