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はじめて学芸会の指導をする先生方のためにつくられた脚本集です。場面やセリフについて、ト書きだけでなく、セリフに番号が付けられ、指導するときのヒントやポイントが具体的に示されています。また、舞台装置や衣装についてもイラストで描かれ、指導者にとって、イメージしやすくなっています。子どもに配付する台本や伴奏音源は、ダウンロードできますので、子どもの発想を生かし、指導のポイントに影響されずに取り組むことができます。
小学校低学年・中学年・高学年向きの脚本が1冊にまとめられています。ほとんどの脚本には、歌が挿入されていて楽しく演じることができます。ジャンルとしては、生活劇、音楽劇、民話劇、童話劇、動物劇、SF劇など多彩で、学年に応じて選ぶことができます。また、大道具は、制作に時間のかかるものは極力減らし、子どもの演技指導に時間を割くことができます。ジャンルに応じて衣装も舞台上で見栄えするように工夫されています。
自分と違う人やモノになり、想像の翼を大きく広げて新しい自分になることができます。想像する力は心を強く豊かにします。将来つらいときや心が折れるようなときがあっても、想像力を働かせ、夢と希望をもって前向きに生きられる柔軟な心が養われます。劇は、1人ではできません。相手の言葉を聞き、反応します。人の前で演じることにより、自信と達成感、充実感を体験し、自尊感情が高まります。劇を通して、協調性、創造力、想像力、コミュニケーション力が培われます。
はじめて劇指導をなさる先生は、どうしても脚本にとらわれ、子ども達にセリフを覚えさせ、大きな声を出させることに意識がいってしまい、子ども達の発想や楽しく表現することが抜けてしまうことが多々あります。学校における劇は、役者を育てる活動ではありません。子ども達が役になりきり、表現することの楽しさを体験できる貴重な機会です。一人ひとりが工夫したことやよさを認め、励ますことが自信につながります。子どものときに演じた体験は、一生心に残り、将来の糧になります。
劇づくりの楽しさを先生方自身に味わっていただきたいです。本書が、その1つのきっかけになれば幸いです。