著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
保護者とのつながりが強くなる!学級通信を毎日発刊するコツ
兵庫県朝来市立竹田小学校教諭國眼 厚志
2016/10/14 掲載

國眼 厚志こくがん あつし

1963年兵庫県豊岡市(旧日高町)に生まれる。岡山大学教育学部卒業。中学校理科教師として勤め、途中、兵庫教育大学大学院に現職で入学。理科教育と原体験教育を学ぶ。その後、小学校教員となり、『わくわくサイエンスマジック』(海竜社)、『文系教師のための理科授業note3・4年編』『同5・6年編』他を刊行する。理科実験講習、サイエンスライブショー、自然教室の講師を務めるほか、ICT利活用の講演も多く行う。著書は他に『教師のためのICT活用ネタ70選』『プロジェクター活用で授業は劇的に変わる』『学級担任のための普通教室ICT活用術』などのICTものや、『ワークシートでらくらく科学クラブPart2〜4』『学校で学べるサバイバル術 ワークシートでらくらく科学クラブ緊急番外編』『文系教師のためのキットでバッチリ理科授業』『文系教師のための理科授業入門&スキルアップ集』『文系教師のための理科授業板書モデル3〜6年生の全授業』などの理科授業ノウハウ集、さらに『教師のためのラクラク便利帳92選 小学校編』『壁新聞で教室が大変身』『3倍はやくこなせて10倍うまく仕上がる小学校教師の仕事術』(以上、明治図書)などの学級経営ものまで多岐にわたる。現在、兵庫県朝来市立竹田小学校教諭。

―学級通信の発行が学級づくりにどう役立つのか、エピソードを交えて教えていただけますか。

 学級通信には、

  1. 行事や持ち物を知らせる
  2. 子どもの様子を知らせる
  3. 保護者に注意を喚起する
  4. 担任の方針や思いを知らせる

などの役目や効果があります。いかに口頭や連絡帳でしっかりと伝えても文字として残る学級通信は記録の上で大いなるアドバンテージがあります。担任の思いがストレートに伝えられるよう、子どものいい様子を掲載し、「読んでもらえる」学級通信にすることで、信頼を勝ち取り、保護者との関係がうまくいくのだと思います。そうなれば学級経営は大変楽になります。

―学級通信を定期的に発行するコツは何でしょうか。詳しくは本書に書かれておりますが、簡単に教えてください。

 多分ほとんどの先生方は「今日はこれを書こう」くらいのネタは十分お持ちだと思います。ただ、それだけで例えばA4用紙1ページ分には満たないので、何かを合わせて1号分にしようとされます。でもそのうちに忙しくてタイミングを逃してしまうのです。週の時間割を入れると3割から4割くらいのスペースを取れます。そこに子どもの作品や作文を毎号入れるともう半分以上埋まるのです。そこに今日の出来事や明日の行事の準備について書くと1号分完成です。そうやってあらかじめ書くことを決めておくと毎日出すことはそう難しいことではありません。また、時間の空いたときに「書きだめ」しておくのも一つの方法です。後でいくらでも変更できるのでとても楽になります。

―2学期中の学級通信にぜひ掲載したいおススメのネタを3つ教えてください。

 やはり運動会文化祭(音楽祭、学芸会、学習発表会)校外学習ネタですね。運動会の写真はPTAでも撮ってくれるでしょうから3号分くらい載せられます。またその作文を2人ずつ載せると2週間分くらいもちます。文化祭に向けた練習の様子をこまめに載せることで参加を増やせますし、校外学習もあるでしょうから、その告知や現場の写真、感想もかなり載せられます。また、生活アンケートの結果をグラフで載せるととても興味をもたれます。保護者の関心を学校側に向けるいい材料が2学期には豊富です。

―ダウンロードデータとして、國眼先生の作成された学級通信のデータ(WORD版・一太郎版)が準備されています。こちらの活用方法を教えてください。

 私は通常、一太郎で作成しています。フォーマットは題字、ヘッダくらいですが、ここに週の予定や子どもの作品、作文などをシリーズ物として載せています。題字を変えてヘッダも自校のものにしたら、あとは大見出しをBS(バックスペース)で削って打てば同じフォントで作れます。週の予定もダブルクリックするとエクセルになるのでそこに教科を入れていけば簡単に作れます。月中行事や席替え、会計報告などもすべてエクセルで作っています。ダブルクリックで入れるとすぐに使えます。最初はできるだけ既存の物をつかって楽に始めるといいかと思います。WORD版も同じようにできます。レイアウトが多少違っていても気にせず、オブジェクトを入れ込むことで簡単に作れますのでぜひ活用して下さい。

―最後に、学級通信づくりに取り組む読者の先生方に向け、アドバイスをお願いします。

 教材研究や生活の指導、宿題の点検などは必ずしなければなりません。それに比べ学級通信はそこまで「必ず」という必然性のあるものではありません。どうしても仕事の優先順位が後になってくるのではないでしょうか。私は真っ先に学級通信を完成させます。それもだいたい2号分くらい。週の予定やシリーズ物、作文などを用意しているので1号だいたい15分もあれば作れます。それからまだできていない教材研究や校務の文書作成を行います。教材研究は1単元分まとめて行うので、これもそう時間はかかりません。文書は職員会議後すぐにします。要はできるときになるべく時間をかけずい仕事を行うことが学級通信を充実させるコツになります。だれでもすぐにこのようにできるわけではないでしょうが、この通信が担任と保護者をつなぐ太いパイプになると考え、まずは……と時間を作り、書いていって欲しいと思います。最終的に毎日発行となれば確実に既読率は高まり、こちらの思いを汲んでもらえるようになると確信します。

(構成:木村)
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