- 著者インタビュー
- 特別支援教育
「発達障害の子どもには視覚支援をするとよい」と言われることがありますが、見る力が弱い子どもには視覚支援が適切とはいえません。また、視覚優位と言われた子どもも、集中して見ることができなければ、適切な支援になりません。
子どもには多くの感覚があります。これらの感覚を全体的に向上させうまく働くと、子どもたちが気持ちよく生活できるということがわかったからなのです。
トランポリン(ユニジャンプ)は、上達することで身につく感覚が変わってきます。始めは自分のリズムで跳びますが、気持ちが安定し、体幹がしっかりしていないと落ちてしまいます。何度か跳んでいるうちに気持ちが安定し、体幹がしっかりとします。その後、足をグーチョキパーと動かしても、ぶれないようにバランスをとります。さらにBGMを流し、リズムよく跳べるようになった頃には気持ちが安定し、落ち着いて話を聞くことができるようになります。私はこの段階を「五重塔理論」として本書で紹介していますのでどうぞご覧ください。
博報賞とは、児童・生徒に対する日常の教育現場ですぐれた教育実践を行った学校・団体・個人を顕彰することを通して、教育現場を活性化させ、支援することを目的に行われている賞です。「特別支援教育部門」は、インクルーシブ教育の理念に則った教育的支援活動が対象です。
私の実践は、「通常学級、特別支援学校・学級、通級指導教室で発達障害のある子どもへの支援・指導」「支援員、相談員、小中教員、
幼稚園・保育園職員などを対象にした『特別支援教育学習会』を10年間企画、運営」「静岡福祉大学の教授とともに『発達支援教室』で、支援者支援、ペアレントトレーニング、教育相談」「各地の研修会や学習会の講師を170回ほど行う」ことが認められたと思います。
「プロフェッショナルであれ」でしょうか。誰もがすぐに指導の力があるわけではありません。私だって、試行錯誤で身に付けてきました。目の前の子どもの様子をしっかりと観察し、子どもの弱い感覚を見極め、その感覚を向上させる手立てを考え続けることです。プロフェッショナルは、常に向上心と、学び続ける気持ちをもち続けることだと思います。今では多くの情報がすぐに手に入る時代になりました。その多くの情報から子どもに適切なものを選び、子どもの支援につなげていってほしいです。よりよい支援方法は、子どもが教えてくれます。子どもが楽しく、力が伸びる方法がよい方法です。勉強すればするほど、さらによりよい方法が見つかるものです。学び続け、悩み続け、子どもとともに成長する支援者になってほしいです。
「発達障害」のある子どもは、個性的でかわいいです。(時々困り感が大きくなって、爆発してしまうこともありますが)発達障害があるから支援をするというより、子どもの「困り感」を少なくするにはどうしたらよいか考えてあげればいいのです。困っていた子どもが笑顔になることが、先生方の幸せではないでしょうか。