- 著者インタビュー
- 学級経営
クラスは、係活動や当番活動などがばらばらに独立して機能するわけではありません。それぞれの活動が連動して学級を育てます。 いきいきとした活動性の高い学級集団を育てるためには、各活動を意図的に配置してデザインの質を上げることが大切です。
本書は、「教室をアクティブにする上で大切な基本的な考え方」「学級づくりのグランドデザイン」「教室をアクティブに動かすコツ」の3つの観点からわかりやすく実践をまとめました。
学級集団の形成に必要な能力が形成されるときは、特定の活動のみでその力がつくとは考えにくいです。例えば、コミュニケーション能力や共感性などです。こうした総合的な能力は、様々な活動が有機的に連動して形成されていきます。また、数時間の活動で身につくようなものでもありません。ねらいを見据えて、様々な活動を組み合わせて継続的に取り組むことで、望ましい学級集団はつくられていきます。
「子どもたちに任せたい」と思っていても、それができないのが現状ではないでしょうか。しかし、実際は、子どもたちが失敗した場合の後に起こる様々なことを考えると任せきれないのが本音でしょう。
最初のうちは、失敗しても大きなリスクが起こらない部分を見極めて任せることです。
@身体の危険が予期されない
A人間関係に重大な影響がある
B社会や学校のルールを逸脱するおそれがある
こうした事態が予想されないときは、任せてみたらいかがでしょうか。
子どもたちの活動性を高めるためには、教室が自分にとって居心地のいい空間になります。そのための第一条件は、安心感です。ひとり残らず安心感をもてるように配慮します。安心感が確保された子どもたちは、今度は、人の安心感をつくろうと行動し始めます。すると貢献的な活動がよく見られるようになります。活動的なクラスは、安心感で満たされたクラスだと言えます。
子どもたちが動き出したら、教師は「見守り」そして、「感謝を伝える」ことです。子どもたちの望ましい活動を、しっかりと貢献に結びつけて言語化したり、感情を伝えたりします。「ありがとう」「うれしいなあ」「みんながとっても喜んでいるね」などの言葉を、折に触れて気付いたときに、積極的に伝えていきます。
部分部分を磨き上げる学級集団づくりから、全体の調和を取りながら環境としての教室の質を上げようとする画期的な内容です。水槽の中に、立派な石をおいても、綺麗な水草をおいても魚は元気に泳ぎません。水槽全体の調和が大事なのです。学級集団づくりの発想が変わる書籍だと確信しています。