著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
子どもが脳を働かせる「考え、議論する」道徳授業を!
筑波大学附属小学校教諭加藤 宣行
2017/2/28 掲載
今回は加藤宣行先生に、新刊『加藤宣行の道徳授業 考え、議論する道徳に変える指導の鉄則50』について伺いました。

加藤 宣行かとう のぶゆき

筑波大学附属小学校教諭、筑波大学・淑徳大学講師。
スタントマン、スポーツインストラクター、公立小学校教諭を経て現職。
日本道徳基礎教育学会事務局長

―本書のタイトルは、『考え、議論する道徳に変える指導の鉄則50』です。道徳の教科化にともなって、「考え、議論する道徳」への転換が盛んに言われていますが、今後どのような授業づくりが求められていくとお考えですか。

 授業後に「脳が働きました」といった子どもがいましたが、そのように頭をフル回転させて「ああでもない、こうでもない」とみんなで真剣に考え、つくりあげる一期一会の授業が求められます。これは子ども自身が求める授業でもあります。

―本書には、教材、発問、板書、ノートなど、様々な話題が詰まっています。その中で、まずは「発問」についてお伺いしたいと思います。先生は、本書の中で「授業を変えたければ発問を変えましょう」と書かれていますが、よりよい発問とはどのようなものでしょうか?

 わかっているつもりのことを、いったんフラットに戻してあげる発問です。例えば、正直はよいこと、うそは悪いことというけれど、本当のことをいって傷つける正直さと、本当のことをいわず(いえずに)相手を思いやるうそはどちらがいいのでしょうか?という類いの問いかけです。一概にうそだから悪いという一面的な解釈から解放してやることです。

―次に「道徳ノート」について伺います。教科化で道徳ノートを書かせる先生が増えそうですが、ノートを活用するポイントを教えていただけますか。

 基本は自由に構成させ、書く時間も限定しません。授業中に書きながら考えたり、家に持ち帰って思いついたことを補足したり、調べたことを書き加えたりしながら自分の考えを膨らませていきます。自由度を確保してあげましょう。もちろん、初期段階の基本的な指導は適宜行います。

―ところで、先日、先生の授業を参観させていただいたとき、授業の終わりを告げても、「嫌だ!」「もっと続けよう!」という子どもが大勢いて驚きました。子どもが主体的に授業に取り組むようになるために、どのような工夫をされているのでしょうか?

 子どもたちは知りたがっている、考えたがっている、よりよく生きたがっているわけです。ですから、「どういうことだろう…わかった!」「なるほど、ではこれはどのように考えたらいいのだろう?」「なるほど!それはいい。そういうことができる人になりたいな」と思わせてやればよいのです。そうすれば、「先生、今思いついたことがあります」「ちょっと聞いてください」「これについてはどう思いますか?」と授業が終わってもこだわり続け、考え続けます。

―最後に、これから「考え、議論する道徳」をつくっていこう!という読者の先生方にメッセージをお願いします。

 子どもたちが、本質に向かって考え、議論するためには、教師自身も考え・議論する必要があるでしょう。子どものため、自分自身のため、日本の教育のため(ちょっと大げさですが…)に、ギアを入れ直してがんばりましょう!

(構成:茅野)
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