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本書のねらいは、大きく次の3点です。@「主体的・対話的で深い学び」(「アクティブ・ラーニング」)を取り入れた小学校社会科授業デザインの基本的な考え方を提案すること、A基本的な考え方に基づいて、第3・4学年、第5学年、第6学年の「アクティブ・ラーニング」型の代表的な小単元を開発すること、そしてB「アクティブ・ラーニング」を位置づけた社会科学習の評価方法を提案することです。
「見方・考え方」については、課題解決的な学習における社会的事象の意味・意義や特色や相互の関連を考察したり、課題を把握して解決に向けて構想したりする際の「追究の視点や方法」と定義されています。このような定義を踏まえると、これからの授業づくりにおいては、追究する学習問題を、「どのように、どのような」という問いから、思考を求める「なぜ、どうして」や判断を求める「どうしたらよいか、どの解決策がより望ましいか」へと転換することが必要となるのではないでしょうか。
「主体的・対話的で深い学び」を実現する魅力的な教材づくり・授業づくりのポイントは、次の3点です。第1は、「深い学び」とするためにも、「なぜ、どうして」「どうしたらよいか、どの解決策がより望ましいか」という問いが生まれるような教材・学習材を開発することです。第2は、小単元の学習過程を、教材との出会い→学習問題の発見→学習問題の追究→学習問題の解決とその表現というように組織することです。そして第3は、主体的・対話的な学習形態・学習活動を選択することです。
子供たちの社会的な見方・考え方の成長を引き出す指導法と一体となった評価法の開発が求められていると考えます。例えば、「思考力・判断力・表現力等」や、「関心・意欲・態度」に代わる新しい観点と考えられる「学びに向かう力、人間性等」を測定できるような評価問題や評価方法は、それ自身が見方・考え方を伸ばす指導法と考えることができます。ポートフォリオ評価やパフォーマンス評価がこれまでは取り上げられてきましたが、本書を手がかりに「主体的・対話的で深い学び」を反映した新たな評価方法の開発を期待します。
本書は、2016年7月刊行の『アクティブ・ラーニングを位置づけた中学校社会科の授業プラン』の姉妹編となるものです。両書を通して、発達段階に応じた「アクティブ・ラーニング」型の小・中学校社会科学習の系統も感じていただければ幸いです。なお、本書では、地域の社会科研究会をリードしている教員の皆さんを中心に人選を行い、独創的な授業プランを作成してもらった自信作です。是非、ご活用いただければ幸いです。