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人と人との出会いは、不安や緊張が伴うものです。本書で言うアイスブレイクとは、そんな固い雰囲気をほぐしたり和らげたりする活動のことを言います。これまでの2冊(『クラスを最高の雰囲気にする! 目的別学級ゲーム&ワーク50』、『クラスを最高の雰囲気にする! 目的別朝の会・帰りの会アクティビティ50』)では、主に学級活動の時間に実施するのに適した一単位時間を使う活動や逆に朝の会や帰りの会で実施するのに適した5分〜10分程度でできる活動を紹介してきました。今回は、授業などの導入などで使える教科指導につながる活動集となっています。
アクティブ・ラーニングの視点を取り入れた授業は、子どもたちが交流によって問題解決をするような場面が想定されます。そのとき、固い雰囲気では学習に取り組みにくいです。そんなときに、短時間でも導入時に、おしゃべりや簡単なゲームを取り入れた活動を実施することで雰囲気がほぐれ、活動に入りやすくなる効果が期待できます。
人は確たる信念や考えで行動することより、他者の言っていることを耳にしたり、ふるまいを見たりして行動する傾向があるという研究結果があります。人の行動は雰囲気に強く影響されるということは昔から言われることですが、研究によっても裏付けられている事実だということです。本シリーズで示してきた@安心、Aかかわろうとする、Bルールやマナーを守る、Cあたたかな結びつき、D自分たちで問題を解決する、の5つの雰囲気は、これもこれまでの研究から見出された学級集団の発達段階に基づき設定されています。これらの雰囲気をつくることによって、無理なく、学級集団の成長を促していくことができます。
具体的な活動を見ていただければおわかりのように、多くの活動がバディ(2人組)を基盤にしています。学級の発達段階は、1人の子に焦点を当てて見たときに、その子がどれくらいのバディとスムーズに活動できるかということがひとつの指標になります。バディを組める子が、多くなるほど上位の発達段階に成長していると考えられます。まだ、バディが1人か2人の子がほとんどの場合は、@安心の雰囲気、また、ほぼ全員とバディを組むことができるならばCのあたたかな結びつきの雰囲気の段階です。Aのかかわろうとする雰囲気、Bのルールやマナーを守る雰囲気の段階は、@とCの間となります。また、Dの自分たちで問題を解決する雰囲気の段階は、ほとんどの子がどの子ともバディを組める状態になったときに実現可能だと言えます。
本シリーズでは、「雰囲気を制する教師が、学級集団づくりを制す」と主張してきました。これまで多くの教室の子どもたちの笑顔や、いきいきした生活を創り出すことに寄与してきました。本書が、皆さんの授業を活性化するために活用されることを心から願っております。