- 著者インタビュー
- 授業全般
中央教育審議会の最後の最後になって、カリキュラム・マネジメントが大きくクローズアップされることとなりました。カリキュラム・マネジメントをどのように捉えるべきでしょうか?私は教師がチームになり、地域を巻き込んだチームになることだと思います。それが成り立てば、学校が抱える多種多様な問題を解決することが出来ます(キッパリと断言できます)。
では、どのように教師がチームになるのでしょうか?私は学校教育の多くを占める教科学習を通してチームになるべきだし、それ以外に方法はないと思います。本書は、『学び合い』においてそれを実現するための方法を詳しく書きました。
次期指導要領では学ぶ内容ばかりではなく、教え方(子どもから言えば学び方)を指定しているところが特徴です。それがアクティブ・ラーニングであり、主体的・対話的な深い学びです。その実現の方法は多様です。つまりノウハウ(know-how)は多様です。しかし、何故、次期学習指導要領で教え方を指定したか、そのknow-whyに着目すれば、多くのアクティブ・ラーニングは目的を達成するのは困難です。お叱りを覚悟で書けば、『学び合い』はドストライクだと思います。なお、これは本シリーズの、『アクティブ・ラーニング入門』、及び、『サバイバル・アクティブ・ラーニング入門』に詳しく書いております。
まず、誤解されるのは当然だと理解すべきです。そして、誤解は理屈で解くことは出来ないことも理解すべきです。「分かる」と「納得する」は違います。「理屈は分かった、でも、納得できない」ことは普通にあります。
では、どうしたらいいか?子どもの姿で理解してもらうしかないのです。それも、分かる人が増えることによって、さらに分かる人が増えます。従って、時間がかかる。そのため、その間、実践し続けるための知恵が必要です。
本書では、ことさら荒立てることなく、穏やかに浸透する方法を紹介しています。
『学び合い』によって子どもは直ぐに変化します。分からない授業を黙って聞いているより、分からないと思ったときに友達と相談できる方が、楽しいし、分かるのは直ぐに実感できます。一方、子どもの「楽しい」、「分かった」を教師は直接実感することは出来ません。そして、今までの枠組みで理解しよう、理解しようともがきます。だから時間がかかるのです。そのもがいているとき実践をし続けると迷います。その迷いは子どもに伝わります。その点、週1程度でやれば本人も迷わなくてもすみます。また、周りの教師も、そういう授業「も」やることは理解しやすいからです。
『学び合い』はもの凄くシンプルな理論と方法論から構成されています。それらは学校段階、教科に依存しません。そのため、『学び合い』をしたときに起こるであろう問題点はパターン化しており、数も限られています。その『学び合い』は二十年以上、数千人の教師が実践しています。そのため、起こるであろう問題点はほぼ出尽くしています。そして、既に、その一つ一つに対して、解決策は多くの実践者が開発し、それらは『学び合い』実践者のなかで情報共有され整理されています。
これは教師集団内部、また、対保護者との関係においても同じです。この本に書かれていることを守っていれば、問題はほぼ起こりません。具体的な方法を多様に書いてありますが、一つだけ書きます。
みなさんは、同僚がどんな人であるかを何で判断しますか?
おそらく、授業方法で判断していないと思います。普段の様子で判断していると思います。「おはようございます」、「ありがとうございました」、「すみませんでした」、「お先に失礼します」の4つの言葉が大事です。そして、少しでも余裕があったら「何かすることはありませんか?」と声をかけることが大事です。
この当たり前のことを続けることが最も大事です。
相田みつをは「人の世の幸不幸は人と人とがあうことからはじまるよき出逢いを」と書いています。『学び合い』を実践しようと、しまいと同じです。本書は、よき人と人とが出会うための方法が書かれています。つまり、幸福への本です。