- 著者インタビュー
- 学習指導要領・教育課程
本書は新中学校学習指導要領の内容をわかりやすく読み解くために活用していただくことをねらいとしています。そのため、一次資料として学習指導要領全文を提示し、その後に、総則をはじめ各教科等を読み解くための枠組み、ポイントを示しています。
枠組み・ポイントを見た後で一次資料たる学習指導要領を読み解いてもよいし、逆の読み方でもよいと思います。
今日、知識基盤社会、AIの発達、グローバル化の進展など社会変化が著しくなっています。そして、このような変化に対応していくためには能力を重視した教育改革が必要であるという考え方が世界的な潮流となっているのです。その要点は、知識・技能を使いこなす能力が重要であり、かつ、実際の社会で活用できるようになることです。それゆえ社会に開かれた教育課程の実現が求められているのです。受業づくりにおいては、教科書にある知識が社会生活とどうつながっているかを念頭に指導することが大切になります。
今回示されたカリキュラム・マネジメントのポイントは、教科横断的な視点に立って、学校教育目標の実現のため教育内容の配列を最適化することだと考えます。つまり、各教科等で学んだことが実際の社会で役立たせることができるように、知識・技能のつながりを考えて、学校の教育計画を検討していく必要があります。そのため、これまで以上に総合的な学習の時間の役割が重要になると考えます。
新学習指導要領では、「主体的・対話的で深い学び」を通して資質・能力を育成することが求められています。ポイントは、能力育成のためにはその能力を発揮する活動が学習場面に組み込まれていなければならないということです。そのため、アクティブな学習活動が必要となるのです。さらに、何についてどのように考えさせるのか、そしてどのような知識を活用させるのかを検討しておくことが大切になります。
観点別評価と評定は、これまでと同様に目標準拠評価で行うことになっていますが、ポイントは、質の高い知識、有用な技能を実際に生きて働くものとして身につけているか、また、知識・技能を使いこなす能力が育っているか、学ぼうとする意欲が育っているかを把握するためにどのように評価するかです。
新学習指導要領の基本コンセプトは、コンテンツベースからコンピテンシーベースへとパラダイム転換しています。授業づくりを考える際には、パラダイム転換の本質を探ることで展望が開けると思います。本書はその手掛かりとなるものを解説しており、多くの先生方にとって有用な書となることを願っています。