いじめを解決するために子どもたちの「人権力」を磨き、エンパワメントしよう!
2017/7/18 掲載
- 著者インタビュー
- 道徳
今回は松下一世先生に、新刊『中学生のための「いじめ防止プログラム」ICT教材&授業プラン―道徳で問題解決力を鍛える!』について伺いました。
―「いじめ防止プログラム」とはどのようなものでしょうか。
「いじめをしない」ということだけでなく,いじめを見抜き,どうすれば解決できるのかという実践的な力をつけていくためのプログラムです。
―「いじめ防止プログラム」は道徳の教材とのことですが,どのように活用できますか。
道徳は読み物教材が多いのですが,主人公の心情を読み取るのに時間の大半をかけてしまうと,肝心の「考え,対話する」時間が短くなりがちです。映像教材も20〜30分あると,やはり同様です。
この「いじめ防止プログラム」は,プレゼンソフトを使って作成されていますので,子どもたちが「考え,対話する」時間をたっぷりとれるデジタル教材です。
―「いじめ防止プログラム」を使った授業後に子どもたちにはどのような変化がみられるでしょうか。
「これっていじめになるかもしれない」「友達や先生に相談しよう」「何か手助けしよう」と思い,行動する子どもが増えます。教師のいる前では行わないいじめが,子どもたち自身が気づくことによって,より早期に教師にも可視化されることになります。
子どもたちが「自分たちにも解決することができるのだ」と,自信を持つことができれば,それがエンパワメントであり,もっともいい変化です。
―いじめ解決に「アサーション」という考え方を取り入れることを紹介されていますが,これはどのようなものですか。その効果も合わせて教えてください。
子どもたちはいじめに悩んでいてもなかなか自分から人に相談できないものです。アサーションは,自分の気持ちを相手に伝えるという心理学の手法ですが,それを活用して,困っている気持ちを友達や先生に伝えることの大切さを学びます。
―最後に道徳授業に取り組む先生方に一言お願いいたします。
いじめかいじめでないかは,なかなか判断が難しく,実際にはグレーゾーンも多くあります。でも,「いじめにつながるかもしれないから,早いうちに解決しよう」という前向きな考え方が,子どもたちにも教師にも必要だと思います。問題解決力は,子どもたちが将来おとなになっても,自他の人権を尊重できる大切な生きる力となります。これが「人権力」です。
(構成:木山)
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