- 著者インタビュー
- 特別活動
一言でいうと、子どもたちと共に創り上げていく協働の喜びです。そこには、日々の変容と成長があり、それを共に感じ合うことで人間関係も深まり、総合的にみんなが成就感をもち、良い学びの体験として心に残ることです。
脚本の読み合わせに時間をかけてください。内容の把握と全体の流れを知り、立ち稽古では役に応じた表現の工夫と他の役とのアンサンブルをとっていく。脚本の理解と全体の舞台上の動きの調和をとることが指導のポイントになるので、そこに時間をかけたいです。まわりの人の表現で自分の役割や表現に気づき、深まっていけるからです。劇づくりは、個と集団が影響しあいながら相互に成長しあえる活動です。脚本の読解と集団指導に焦点をあてた指導が回り道のようですが、結果的にみんなが成就感をもつことができる発表会になるのです。
指導する先生が好きな脚本であることが大切です。好きな理由が指導のエネルギーになるからです。子どもたちの活動が視覚的にイメージできるものも良いですね。複雑なストーリーよりも劇の主題も簡明なもの、子どもたちの活動場面が多くあるものが子どもたちには喜ばれますし、指導もしやすいでしょう。
以前よりも、劇活動の教育性が理解され、認知される活動になると思います。何故なら、「主体的・対話的で深い学び」が改訂の基盤に明示されているからです。まさに演劇活動は知識を相互に関連付け、総合的に実践していく活動であり、特別活動のねらいにも合致しているのです。演劇的表現を取り入れた活動は、道徳や他教科にもこれから取り入れられていくことになるでしょうが、優れた実践で証明していくことがますます必要になるでしょう。
子どもたちは劇が大好きです。想像力を駆使して表現することができるという人間が本来もっている欲求なのです。しかも個人ではなくみんなで創る活動ですから、そこで培われものも、学ぶことも多い活動です。伝える表現、伝わる表現のレベルアップを図りながら、一人一人の心を育て、良き集団をつくる活動として劇づくりは優れた教材です。劇づくりを通して、子どもたちが相互に理解し、認めあい、励まし合える場となる劇づくりになること、そして先生自身が共に創る劇づくりを楽しめることを心より願っています。