- 著者インタビュー
- 特別支援教育
基礎編では、今までの特別支援教育で教えられていた事は、就職してからは役に立たないこと、いや、有害でありさえすることを書きました。かなりショッキングな内容だと思います。今回はそれを分かった上で、どうするか?ということに焦点を当てています。
まず、就労の仕組みを知ることがスタートラインです。この仕組みに関しては、特別支援学校でも高等部の先生ぐらいしか知らないのが一般的です。つまり、特別支援学校であっても初等部、中等部の先生はあまりご存じない。ましてや一般校の特別支援学級、また、特別な支援を必要とする子どものいるクラスの担任は殆ど知りません。しかし、これを知らなければ、何をすべきかを理解することが出来ません。
教師が知らないならば、若い保護者に伝えられません。結果として、保護者が就労に意識がいくのが遅れてしまうのです。多くは特別支援学校の高等部の2年の後半ぐらいにならないと保護者は就労を考えられません。しかし、それでは「手遅れ」なのです。
子ども達が就職する企業や事業所の方々、また、子どもを既に就職させた、現在、40歳代、50歳代、60歳代の保護者が様々な表現でそれを語られています。しかし、それを一言で表現すれば、「人とつきあえる能力」です。
子どもにとって「人とつきあえる能力」が大事ですが、それは保護者も教師も大事です。どのように就労のマッチングを行い、就労を継続するべきかを知っている、保護者や企業・事業所の方々と繋がり、その情報を収集することが大事です。我が子に「その子」のための就労を実現するには、長い時間と多くの情報が必要です。
子どもの最低限の生活を保障するには「制度のつながり」が大事です。幸い、障害者に対するセーフティーネットは整備されつつあります。むしろ怖いのは、学校の勉強が出来たために特別な支援の必要な子どもと認定されない子どもです。この子どもに対してはセーフティーネットが弱く、厳しい生活が待っています。このことを理解し、積極的に「制度のつながり」を保証してあげなければなりません。
しかし、「制度のつながり」は衣食住を保証してくれますが、子ども達の幸せを保証は出来ません。それが出来るのは人との繋がりによる「幸せのつながり」が必要です。これを実現するには学校教育で育めるところが大きい。しかし、現状の特別支援学級に隔離して、特別支援学級の担任に守られている状態ではそれを育めません。
前著の基礎編と同様に実践編もかなりショッキングな内容です。その事を危惧して、前著及び本書に関して多くの保護者の方々に事前に読んでいただきました。反発を予想していたのですが、全員から好意的な反応をいただきました。その中のお一人からは、「読んで気楽になれる口あたりのよい本はもううんざりです。こんな本を待っていました。」との声をいただきました。苦い薬ですが、読んで下さい。子ども達が幸せになるには、絶対に必要なことです。