著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
楽しく力のつく小学校英語授業のアイデアが満載です!
埼玉県大里郡寄居町立寄居中学校教頭瀧沢広人
2017/11/28 掲載

瀧沢 広人たきざわ ひろと

1966年東京都東大和市に生まれる。埼玉大学教育学部卒業後,埼玉県公立中学校,ベトナム日本人学校などに勤務。中学3年生の夏に外国人と話をした経験から英語が大好きになり,将来は英語の先生になりたいと思うようになった。教師となってからは,1人でも多くの生徒が,英語を楽しいと感じてもらえるよう,著書やセミナーで学ぶ。また自らも楽しいアイデアなどを発信するようになる。ここ数年は,授業ですぐに使えるような教材を開発したり,アイデア集を提供したりしている。

―「We can1、2!」などの新教材も公表され、2018年度からいよいよ小学校英語授業の先行実施が始まります。そんな中、本書はどのように活用できるでしょうか。

 2020年の新教育課程の完全実施に向け、2018年度から移行期が始まります。それに伴い、移行教材も作成されました。それらの教材を2018年度からやっていかないと、教科となったときに、未習の分野が出てしまったり、中学1年の英語授業に間に合わなかったりということが起こります。実質的には、2018年度には、本格的な英語授業が始まるといっても過言ではありません。本書のねらいの1つは移行教材への対応です。移行教材で扱われている題材を中心に、授業アイデアを提示したものです。

―本書のChapter1では、小学校英語の基礎・基本の鉄板スキルを10項目に絞って紹介しています。この10項目はどのような視点で選んだものですか。

 小学校の先生方がこれから教科としての英語授業、また外国語活動を展開する上で、無理のない突破口は、「授業で使える英語ゲームをたくさん身に付ける」ということです。英語ゲームの中には、そんなに難しくなく、かつ児童の楽しむ姿が見られるものが、多々あります。また、学生時代に、英語が好きでなかったり、苦手意識を持っていたりする先生でも、英語ゲームを実践していく中で、児童が楽しそうに学んでいる姿を見ると、英語授業の楽しさを感じることができるでしょう。そのような英語ゲームも含めて小学校英語で必要と思われるスキルや考え方を紹介しました。

―Chapter2〜5では、3年生から6年生まで、学年別に57の豊富な言語活動アイデアがワークシートとともに紹介されています。実際の授業に効果的に取り入れるコツを教えて下さい。

 英語を身に付けるためには、語彙の習得が欠かせません。何か活動するにも語彙を知らなくては活動できません。そこで、本書では、題材に関する語彙をイラストとともに載せてあります。まずは、語彙を教師の後に繰り返させたり、ワークシートを切って、カルタにしてみたりしながら、語彙に慣れ親しませましょう。次に大切なのは、ターゲットとなる基本文への慣れ親しみです。繰り返し繰り返し話したり、聞いたりさせるために、インタビューを行ったり、ゲームを行ったりします。これもワークシートがありますので、参考にご活用いただければと思います。

―先生はこれまで小学校と中学校両方で英語授業を実践されていますが、児童が英語嫌いにならないようにするために、大切にしていることは何でしょう?

 ありきたりですが、やはり「楽しい授業」です。授業を楽しくする工夫を、いつも考えています。では、楽しい授業にするためには、どうしたらいいでしょうか。1つは、授業をリズムテンポよく行っていくことです。テンポよく、どんどん進めていきます。2つ目は、ネタです。基本文となるターゲットセンテンスを、どのように導入したら児童を引き付けることができるかを考え、よりよいネタを探してきます。3つ目は、児童を活動させることです。児童は自分が動いているときは、退屈とは感じません。また、活動は時間を忘れさせ、45分の授業が短く感じます。ぜひ、皆さんで授業を楽しくするコツをつかみ、授業を楽しんでください。

―最後に全国の小学校で英語を教える先生方に一言お願いいたします。

 英語の授業は実に楽しいもの、工夫はエンドレスです。とは言え、私は真似ることをすすめます。何もゼロから考えることはないんです。他の実践を真似て、そこからヒントを得てみてください。アイデアはないところからは生まれません。今あるアイデアを少し変え、少し変えていくなかで、自分のオリジナルなものが生まれます。何もないところから考えることはないんです。また、アイデアは私たちも周りにたくさん転がっています。日本には多くの英語研究会やセミナー、学会、研究大会も開催されていますので、足を運び、明日の授業に使える技を追い求めていきましょう。どこかでお会いできましたら、気軽にお声がけ下さい!

(構成:木山)
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