著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
最高の教師人生を送るために
京都文教大学准教授大前暁政
2018/1/25 掲載
  • 著者インタビュー
  • 教師力・仕事術
 今回は大前暁政先生に、新刊『先生のためのセルフコーチング』について伺いました。

大前 暁政おおまえ あきまさ

岡山大学大学院教育学研究科修了後、公立小学校教諭を経て、2013年4月京都文教大学准教授に就任。教員養成課程において、教育方法論や理科教育法などの教職科目を担当。「どの子も可能性をもっており、その可能性を引き出し伸ばすことが教師の仕事」ととらえ、現場と連携し新しい教育を生み出す研究を行っている。文部科学省委託体力アッププロジェクト委員、教育委員会要請の理科教育課程編成委員などを歴任。

―本書のテーマである「セルフコーチング」とは、ズバリなんでしょうか。

 「セルフコーチング」とは、簡単に言えば、「自分の人生をよりよく変えるための方法」です。このセルフコーチングの考え方は、教師の仕事をするうえでも、絶対に知っておかないといけません。

―では、「セルフコーチング」について知っておくことが重要なわけを教えてください。

 実は、多くの人は、様々な制限(と勝手に自分が思っているだけのもの)の中で暮らしています。知らず知らずのうちに、「こんな自分」というものを決めてしまい、その通りに生活してしまっているのです。そうすると、次のような悩みをもつことがあります。
 「どうも、自由がない気がする」
 「本当にやりたかったことができていない気がする」
 「毎日が楽しくない」

 こういう気持ちを漠然と抱いている場合、ひょっとすると、「自分らしさ」や、「本当のゴール」が見えなくなっているのかもしれません。「自由がない」とか、「楽しさを感じられない」と思うのは、とてもつらいことです。
 こういった制限を取り払うためには、セルフコーチングの考え方を知らなくてはなりません。
 制限を取り払い、本当のゴールに向かって歩み始めるのです。
 もっと言うと、セルフコーチングの考え方を知ることでしか、真のゴールは見えてきません。

―本書を執筆する際、特に重視したことを教えてください。

 本書は、自分自身の教師人生をよりよく変えるためのコーチング手法を示した書籍です。
 本書には、セルフコーチングのすべての要素を入れ、解説しています。
 さらに、教師に特化した内容にするため、「理想の教師に近づくための45の問い」という形をとっています。
 現場の先生方がセルフコーチングについて学ぶ機会はほとんどありません。私は、「先生のためのセルフコーチング」の考え方が、教師の世界の常識になることを願っています。

―45の問いの中に、「偏りを自覚しているか?」というものがありますが、これは具体的にどういうことでしょうか。

 セルフコーチングでは、自分を客観的に振り返ることが大切です。
 中でも、自分の「偏り」に意図的に気づこうとすることは重要です。
 どんな人でも、なんらかの「偏り」があると言われています。
 それは、人がそれぞれ何を重要と考えるのかが違うからです。そして、その偏りが、授業や学級経営、子ども対応の中で、「無意識に」現れてしまいます。
 子どもを育てる教師は、「偏り」に自覚的であるべきです。
 本書では、偏りに気づく方法と、対処法を紹介しています。

―若手の先生でなくても、教師人生をよりよく変えることは可能でしょうか。

 セルフコーチングの考え方は、年配だろうが、若手だろうが、どの年代でも有効です。
 私自身、この考え方で、どんどん教師人生をよりよく変えてきています。
 ただし、できるだけ早い方がよいことは確かです。
 「早い」というのは、時期のことでもあり、年齢のことでもあります。
 一か月後よりは、一週間後。
 一週間後よりは、今日。
 年齢もできるだけ早い方がよいです。
 教師人生をよくするのに、早いに越したことはありません。

―最後に、読者の先生方へ向けてメッセージをお願いいたします。

 本書の内容は、50代の先生に読んでいただいても、きっと役に立つはずです。
 しかし、遅くとも40代には、このような考え方を知っておくべきです。
 できれば、30代では知っておいた方がよいでしょう。
 20代で知っていたら、大きなアドバンテージを得ることができるはずです。
 教師人生を最高のものにするために、きっと本書がお役に立つはずです。

(構成:矢口)
コメントの受付は終了しました。