- 著者インタビュー
- 生活・生徒・進路指導
もちろん大声で叱る場面もありますよ。でも、大半は面倒を見たり、普通に会話をしていることがほとんどですから、やはり生徒指導は冷静沈着な場面がほとんどなのです。しかし、冷静沈着でいられない場面では、大声で叱るしか方法がなくなってしまうのです。
もちろん、強面教師は1人はいた方がいいのですが、冷静沈着な教師はその何倍かはいた方がよいと思います。私自身はその両方の面をもつように心がけていました。
それは「心得」17の、「生徒指導は「わけ」に取り組む」です。私の若い頃は、厳しい校則指導を守らせることが生徒指導の基本でした。「服装の乱れは心の乱れ」が徹底していた時代ですから、いかに早く違反者を見つけ早く直させるかが、重要な仕事でした。このような指導では当然同じことの繰り返しになってしまい、疑問をもつようになりました。そこから、問題行動そのものではなく、「心の乱れ」こそ指導の対象ではないかと思うようになったわけです。
本書の「心得」で言えば、4の「現状を振り返る」と5の「振り返るにはこうする」です。事務的なことをこなすのは当然ですが、この「現状の振り返り」をしない限り、前進させることはできません。先生方が現状をどう思っているのかがばらばらでは、その後の取り組みは積み上がりません。
ただし、1人で悩まず指導部の仲間と一緒に考えてください。
「心得」54の「私の1日の時間の使い方」に書いておきましたが、私は担任の仕事、学年主任の仕事、生徒指導部の仕事、教材研究、部活動(55歳まで)の4つが常にありましたので、それぞれの仕事を細切れにやらずに、一気にまとめてやっていました。その方が能率がいいのです。放課後学校で、平日の夜自宅で、土日の夜自宅で…というように、まとまった時間に取り掛かれるよう、仕事を分けていました。
また、生徒指導上の問題は重なってくると大変な労力が必要になります。ですから、生徒の対応は校内のどの会議よりも最優先で、起きた問題にはできるだけその日のうちにめどをつけるようにしていました。
生徒指導にはいろいろな考え方、方法がありますが、自分の頭で考えて自分が納得のいくものを積み上げるしかないのです。
食べたものを全て栄養にする人はいないように、本書の「心得」すべてを身につけようとする必要はありません。本書が、少しでもみなさんの仕事のヒントや手がかりになればうれしいです。