- 著者インタビュー
- 学級経営
最大の効果は、学級経営の可視化です。学級通信は、生徒と保護者の手元に記録として残ります。生徒個人や学級の成長の姿を、定期的に文字と写真でまとめて示すことができるのは、学級通信だけです。
また、学級担任としての思いや経営方針を明確に伝える効果もあります。教師側にとっても、通信の編集と執筆を通して、学級経営を定期的に振り返り、改善のヒントをつかむことができるという良さがあります。
最も意識しているのは、魅力の顕在化です。生徒自身も気づいていないような輝きを見つけて紙面に取り上げることで、読み手である生徒や保護者、他の先生方が感動する作品を目指しています。そのために、学級の生徒と接する時間を長くし、生徒理解を深めるように心がけています。
また、参考にしているものとしては、学級通信のコンクールにおける入賞作品などがあります。他にも、見出しについては新聞の見出しをまねることもありますし、レイアウトやデザイン、写真の構図などは雑誌やポスターも参考にします。
計画性がポイントだと考えます。詳細は本書で触れていますが、年度当初に通信の計画を立てると、先の見通しをもって発行することができます。計画を生徒や保護者に明示することで、「有言実行」しなければいけないと、発行への責任感が高まります。
また、記事の「ネタ」探しも必要なので、生徒とのやり取りや教室で見聞きしたことの中で、通信に紹介できることがないか考えたり、生徒会活動や部活動を「取材」したりしています。
まずは、通信を確実に読んでもらうことが大切です。多忙な保護者が思わず目を通したくなるような紙面を心がけています。中学生の保護者は、小学校時代から数年にわたって学級通信を読み続けている、目の肥えた読者です。最初の数号で「この先生の出す通信は、ひと味ちがう」と思ってもらうことを目指しています。その上で、読者である保護者にも学級経営や生徒に関する意見を寄せてもらうように、機会を見てお願いしています。学級通信の「ファン」になってくれると、協力をしてもらいやすくなります。
私が学級通信に力を入れるようになってから、わずか5年しかたっていません。かつて、学級通信が生徒の机でくしゃくしゃになっていたこともありました。しかし、今では、生徒は真剣なまなざしで通信を読み、保護者は発行を心待ちにしてくれます。学級通信を工夫すると、生徒や保護者と心が通じ合ったと実感できる機会が、確実に増加します。学級経営に何らかの悩みを抱えている先生こそ、本書を手に取っていただければと思います。きっと、解決の糸口が見えるはずです。