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ねらいは、読み聞かせの選択肢を提供することです。日本でやられている読み聞かせがあまりにパターン化され過ぎているので。読み方としては、興味のもてそうなところから読み、そしてぜひ試してみていただきたいです。さらには、読んだものを自分なりに膨らませて、新しいやり方まで開発していただきたいです。
日本では、読み聞かせはうまく話し、そしておとなしく聞くことが大事にされている気がします。欧米の読み聞かせの特徴は何よりも、対話的と言えると思います。あるいは、聞いている者たちこそが主役と位置づけられて、あくまでも読むことが好きになり、読む力をつけることこそを目的に据えられている気がします。従って、読み聞かせはそれを実現するための手段という位置づけです。
読み聞かせをし始める前から勝負は決まっているようなところがあります。聞き手が発言したくなるような選書が最大のポイントだからです。何も言いたくないような本では、聞くだけが約束されていますから。あとは、それをどう引き出すかのタイミングや問い方などを事前にいくつか決めておくことでしょうか。最初のうちは、教師が見本を示すことも大切だと思います。
読む時に、どんなふうに読んだらおもしろいのかのモデルを示せることです。たとえば、どう関連づけたらいいのか、どう質問や推測したらいいのか、どうイメージを膨らませたらいいのか、どう解釈したらいいのか、これまでの理解をどう修正したらいいのかなどの見本を示すことで。これらは、すべて優れた読み手は当たり前のようにしていることです。
何よりも、聞き手たちが一緒に読んでみたいと思える本を選ぶことだと思います。それは、大人が何度読んでも飽きないストーリー性をもっていたり、発見があったりするような本かもしれません。子どもたちの方が、そういうものを見出す能力は高いかもしれませんから、子どもたちに教えてもらうようにしたらいいかもしれません。
タイトルにあるように「読み聞かせは魔法」です。読むことを好きになり、かつ読む力をつけてもらうための出発点です。その際、本書で紹介している4つの方法を知っていて、これまでの読み聞かせと、うまく使い分けられると、さらに効果を上げるでしょう。そして、それらはすべて「一人読み」に向けての準備であり、年齢や対象によっては、さらにガイド読み、ペア読書、ブッククラブ、ブック・プロジェクトなど他の方法も活用/併用するとより効果的です(186ページの図を参照)。