著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
保育園・幼稚園にぴったり!すべての子どもが楽しめるボディパーカッション活動
九州女子短期大学特任教授山田 俊之
2018/2/28 掲載

山田 俊之やまだ としゆき

九州女子短期大学特任教授。九州大学教育学部非常勤講師、NPO法人ボディパーカッション協会理事長。九州大学大学院人間環境学博士後期課程修了。
1986年「ボディパーカッション教育」を考案し教材を開発している(リズム教育研究・教材開発)。
2001年、2004年、2006年「NHK交響楽団トップメンバーとボディパーカッション演奏会」を企画、小・中学生(健常児)、聴覚障害、知的障害生徒との共演コンサートを実現する。
2014年より、JHP「学校を作る会」、JICA、カンボジア教育省カリキュラム編成局との共同プロジェクトで、ボディパーカッション教育を取り入れた教材開発を行う。
2017年8月オーストリア・ウイーン国立歌劇場、ウイーン国立高齢者福祉施設で「ボディパーカッション・ワークショップ」を行う。
ボディパーカッション曲「花火」が平成17年小学校3年音楽科教科書に、「手拍子の花束」が、平成24年度文部科学省編集特別支援教育音楽科教科書に採用される。
主な著書『ボディパーカッション de クラスづくり』 『特別支援教育 de ボディパーカッション』他多数。
【連絡先】edubody1986@gmail.com 

―ボディパーカッションに関する書籍はたくさんご執筆されていますが、保育者向けの本は初めてですね。今回、なぜ保育者向けにご執筆されたのでしょうか。

 今までに、様々な教育分野の先生を対象に研修会を実施させて頂きました。その中に、必ず数名は幼児教育関係者の方がおられ、感想等で「この教材は幼稚園や保育園の子どもたちにも有効です」「歌に合わせたボディパーカッション教材もたくさんあるといいです!」「ボディパーカッションは難しいので少し簡単に工夫して行っています」などのご意見をたくさん頂きました。そこで、今回この本を書かせていただきました。

―保育現場では、音楽活動やリズム活動によく取り組むと思いますが、既存の活動とボディパーカッションの違いは何でしょうか。

 保育現場で、歌に合わせリズム遊びや手拍子を行う事はよくあると思います。それも十分楽しいのですが、本書のボディパーカッション活動は、楽曲の構成を考えてリズムを変化させ、手拍子やひざ打ち、足踏みのリズムアンサンブルを楽しめるように作っています。そのことが、幼児でも音楽的に楽曲を構造的に理解することにつながります。
 また私の経験から、友達と一緒にリズムを合わせることによって、不思議なことに自然にリズムが同調し人間関係も良好になるようです。ぜひお試しください。

―ボディパーカッションが初めての先生にとっては、取り組みの様子を実際に見たい、という人も多いと思います。何か方法はありますでしょうか。

 本のカバー袖に、QRコードを付けています。これにアクセスすると、「リズム遊び、ボディパーカッションの動画」を見ることができます。特に、「まねっこリズム」の動画は、私がいきなり保育園に行ってリズム遊び行ったものです。子どもたちの生の反応を知ることができますので、ぜひご覧ください。また他にも、「5万人のボディパーカッション」 「NHK交響楽団と特別支援学校生徒の共演」 「欽ちゃんの仮装大賞で“花火”」などがご覧いただけます。この動画を参考に、ぜひ子どもたちと一緒にリズム遊びやボディパーカッションやボイス・アンサンブルに取り組んでみてください。
 また、2018年度から東京で定期的に子どものサークルや先生方の研修会を行う予定です。どうぞ機会がありましたらご参加ください。

―本書では、先生が作曲されたボイス・アンサンブルもいくつか収録されていますね。子どもたちにとって、ボイス・アンサンブルの魅力は何でしょうか。

 本書の「保育のヒント」にも書いていますが、ボイス・アンサンブル作曲のきっかけは小学校通常学級で難聴の女の子は歌が大好きなのに、合唱のときに音程がうまく取れないでずれてしまい、“友達の冷たい視線”に耐え切れずに不登校になった話を聞いたからです。
 つまり、ボイス・アンサンブルの魅力は、合唱のようにみんなで声を合わせますが、“歌が上手に歌えなくても、音程がうまく取れなくても、大きな声を出して楽しめる”ことです。全ての子どもたちと一緒にリズムに合わせ、声を出して“音程のない合唱”を楽しんでください。

―最後に、これからボディパーカッションを取り組んでみようという保育者の先生方へ向け、メッセージをお願いします。

 本書の特徴は、幼児教育関係者の方々のご意見をたくさん載せています。そして、みなさんが共通するご意見は“子どもたちはリズムが大好き!”ということです。
 「保育のヒント」では、幼稚園、保育園、小中学校、特別支援学校、大学など様々な立場の先生方からボディパーカッションについてご意見をいただいています。どうぞ、これらの意見を参考にされて本書を活用してください。
 本書は、幼児教育のみならず、小学校低学年や特別支援学校さらには“合理的配慮”が行える「インクルーシブ教育」としても活用できると確信しています。よろしくお願いします。

(構成:木村)
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