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よくある悩み
授業は進められるようになってきたが、一部の子ども(先行知識のある子やいわゆる声の大きい子など)の発言で授業が進んでいく。つまり、全員が参加している授業はどのようにしたらいいのか?
全員参加している状態をどのように教師が捉えているのかが大切です。全員発表することですか? もちろんそれができれば素晴らしいですが、ほぼ不可能です。1時間の授業でそれぞれが5回は口から言葉を発する時間を作っています。例えば、問題を全員で読む。ペアで話す。はい、いいえで答えられる発問をするなどです。つぶやきもそうですが、口に出して言葉を発することを、挙手して発表することと同程度の価値づけをしています。挙手して発表することが参加しているという捉えを変えると、授業の進め方も変わってきますね。
3つの関わり合いを大切にしています。1つ目は課題との関わり合い。主体的に課題に取り組むためにも、〇〇したいという気持ちを湧き立たせる導入や課題が大切です。2つ目は先生との関わり合い。子どもはやはり先生に認めてもらいたい気持ちが大きいです。評価する言葉、評価するしぐさをシャワーのように浴びさせます。3つ目は仲間との関わり合いです。一人一つ具体物を渡せばいい場面でも、ペアで一つにすると、自然と頭を突き合せたり、会話したりして関わり合います。算数に限らずどの授業でもこれらのことは意識しています。
第1章では基礎基本のマストスキルが10個あげられています。発問や板書、課題設定などにおいて何を大切にして授業づくりをしているのかを思い返しながら読んでいただきたいです。今までの実践に理論的なエビデンスを合わせることで、より確かな実践にすることができるはずです。第2章では、ぜひ冒頭のフローチャートをしてみてください。算数の授業づくりに対して、今のあなたは何に着目しているのかがわかるはずです。ポイントをつかみながら、ぜひ読み進めてください。そういう意味では、本書はどの部分から読んでも、明日の授業に役立てることができると言えます。が、全部読んでくださいね。
算数の授業開きでは、「笑顔がいっぱい、仲間といっぱい関わり合う、(自分でする100%楽しい授業の)7割ぐらいの楽しさの授業」を心がけています。1年間の授業を楽しみにしてもらうためには、笑顔があふれるような教材(ゲームなどのネタものでもOK)で、仲間と一緒に解決できるような授業がいいですね。そして、1回目から100%の楽しさの授業ではなく7割ぐらいに抑えておくようにしておくのがコツです。徐々に楽しさをアップさせていくことで、子どもたちが「算数待ち遠しいな」と思ってくれるようになります。
「算数の授業は楽しい!!」
解決できたときのスッキリ感、仲間と一緒に考えることができたときの充実感、〇〇の場合はどうなのだろうかと発展的に考える楽しさなどあげればきりがありません。授業をする先生方が教材研究のときにその楽しさをぜひ感じてください。Aさんだったらきっと〇〇って言うはず!Bさんだったら△△に疑問を持ってくれるはず!と考えると授業づくりが楽しくなります。しかし、実際してみると想定外の意見が出たり、先生の考えを超える意見を言ってくる場合もあります。そんなこともすべて子どもたちと一緒に楽しんでください。一緒に悩んでください。先生は、私たちと一緒に悩んで考えてくれる。そんな思いを持った子どもたちとの信頼関係は深くなっていき、学級づくりにも有効に働きます。
もう一度言わせてください。「算数の授業は楽しい!!」