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新学習指導要領では、目標と内容の示され方が大きく変わりましたが、それとともに、社会科においては新しい内容や教材が追加されたり一部改められたりしました。本書は、新学習指導要領に示された「新内容」「新教材」に焦点を当てて、指導のアイデアやヒントを示したものです。また、学校現場の状況を熟知している社会科の研究者によって執筆されており、学校や教師に対するメッセージにもなっています。
本書の1章では、内容論、方法論の観点から新社会科の課題を解説しています。これを受けて、2章では、各学年の「新内容」「新教材」に焦点を当てて、指導のアイデアやヒントが解説されています。まず、1章を読んでいただいたあと、2章に紹介されているご自分の関心のある、あるいは授業づくりに取り組みたいテーマを選んで読み解いていく方法があります。また、全体を読み通すことによって、今回の学習指導要領の課題を概観することができます。
新学習指導要領は、さまざまな新しい教育課題にも対応しています。それに伴って、新内容や新教材が示されました。社会科は社会を対象に学ぶ教科ですから、社会の変化に伴って内容や教材が変化するのは、社会科の宿命だともいえます。本書では、こうした教育課題に対応した授業づくりについても紹介しています。
新しい用語が登場すると、つい目新しさが重視されますが、何事にも「不易と流行」があります。これらは、社会科の授業においてまったく新しい課題ではありません。これまでも精力的に取り組んできたものです。浮足立つ必要はありません。ただ、これまで重視してきた大切なことは何か。改善しなければならないところはどこかを確認し、よりよい授業づくりを進めることがポイントです。
授業において指導と評価は一体ですから、学習指導要領が示された段階で、学習評価の考え方についても示されると良かったのですが、本書の執筆の時点では、新学習指導要領における学習評価の考え方や方向性について明確な方針が示されていませんでした。学習評価の目的や基本的な考え方はこれからも変わらないと思いますが、新しい方向性や評価の観点、評価方法が示された段階で、学習評価に焦点を当てた新たな提案をしようと考えています。