- 著者インタビュー
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社会科の教科書を読み、グラフや写真を読み取ってノートにまとめるという授業が意外と多いのではないでしょうか。これでは、これから激変する社会に対応できないと思われます。そこで、新指導要領では物事を捉える視点とその方法論が明記されるに至りました。
では、どうすれば社会的な見方や考え方が鍛えられるのでしょうか。
本書では、グラフや写真、年表などの社会科特有の資料をどう授業していけばいいかということを、ワークシートという形で表してみました。社会科は「所変われば品変わる」という面と普遍的な面があります。地域に応じてアレンジして使用して頂くと有り難いです。
有田先生の言葉「材料7分に腕3分」、これこそが子どもたちを授業に引きつけるキーワードだと、これまでに教材開発、授業実践をしてきました。そんなワクワクする教材づくりの視点を自分なりに言うと、こうなります。
教材作りのハヒフヘホ
ハ…子どもたち(教師)がハッとするもの
ヒ…その教材で子どもたち(教師)の意欲や活動がヒロガルもの
フ…面白いだけではだめで、その教材で教育内容に迫れるフヘン的なもの
へ…子どもたち(教師)が「へー、なるほど」とお得感を感じるもの
ホ…子どもたち(教師)がホンキで追求できるもの
なんと言っても、まずは教師がワクワクする必要があるかと思います。
写真や絵画の見方、課題の持たせ方などは、何回もワークシートをコピーしながら「繰り返し」やって鍛えていくことが必要です。そうしていくことで、シートなしでも見方や考え方のやり方(方法論)が身につくと思います。
また、どんなに小さいことでも、わずかな一言でも大げさに褒めたり、取り上げたりしていくことが重要です。子どもたちにとって、励ましが一番の栄養ドリンクになると思います。褒められると、ますます子どもたちの追求心に火がつくかと思われます。有田先生の授業がまさしくそうでした。
発達段階としては、学年が進む程、小さいところを分析的に解読していけるようにしていければいいかと思います。
日常生活と切り離さないことだと思います。討論した内容に関係のある社会事象が当然、出てきます。すかさず、新聞やテレビのニュースを取り上げたりして、自主学習ノートなどに反映させ、それをさらにクラスで紹介していくことです。
また、そのノートに子どもの考えとは違う視点を一つコメントしておくという方法もあります。「こんな考えがあるけど」という教師や他の子どもの考えを表記します。それらを複合的に考えることで、子どもたちの視野が広がって、クラスでの日常生活も友達を見る視点や物事の捉え方に幅が出て、相乗効果が出てくるのではないでしょうか。
継続して考えているか、身近な問題と絡めているか、自分自身のことや他者との関連で考えられているか、これらも評価の一観点になるかと思います。
まずは「教材ありき」だと思います。腕が悪くても、魅力的な教材だと、子どもはのってきます。私が若かりし頃、子どもたちが私の未熟な授業を続けてくれたという経験もあります。そのためにも、教師自らにワクワクした教材開発、授業つくりが求められているのではないでしょうか。教師自身がワクワクしないのに、子どもがするはずがありません。
教材を開発すること、ワークシート作成は、教師の生きがいにもつながる
し、第一、教師の視野が広がります。
これから激変する社会に対応できる子どもたちに育てていきたいものですね。