- 著者インタビュー
- 社会
本書は、平成29年版学習指導要領(社会科)の内容を解説したもので、二つの章から構成されています。1章では、社会科の新しい学習指導要領について理解するために25の課題を設定して解説しています。2章では、各学年に新設された単元や教材に焦点を当てて、小単元の指導計画や本時の学習指導案を一つのモデルとして紹介しています。まずは1章に目をとおし、次に2章の関心のある学年の指導計画などを読む方法が考えられます。また、姉妹書である『小学校社会科「新内容・新教材」指導アイデア』と合わせてご活用いただきたいと思います。
1章の「学習指導要領を読み解くQ&A」では、実践に当たって押さえておきたい事項を「Q&A」の形式で解説しています。ここでは、文部科学省の『解説』では触れられていない、改訂の背景や指導方法などにも触れながら、実践に当たって押さえておきたい事項を中心に述べています。『解説』と併用して読み解くことを想定しています。
学習指導要領に関する社会科の解説本で、単元ごとに「知識の構造図」を紹介しているのは本書だけだと思います。社会科は内容教科であり、授業者は常に「何を」指導するのか。どのような知識を身につけるのかを確認する必要があります。習得・獲得させる知識(指導内容)を明確にして、はじめて「主体的・対話的で深い学び」や「見方・考え方」を働かせた授業が生きたものになります。
ここに、今回の学習指導要領の最大の問題点があります。年間授業時数は増えないままに、指導内容や教材が増えています。この問題を解決するには、年間を見通して、指導内容や教材の指導時間に軽重をつけたり重点化を図ったりするなどの工夫が必要になります。まさに、各学校のカリキュラム・マネジメント力が問われていると言えるでしょう。単元末に実施するペーパーテスト問題との関連を考慮する必要もあります。
本書が新しい社会科の授業づくりにお役に立つことを心から願っています。本書では、学年ごとに「重点単元」の授業モデルを紹介しました。今後、全国各地で実施された優れた授業実践の成果が交流されることを期待しています。実践の模様についてお届けいただければありがたいです。