- 著者インタビュー
本書の受信力は、教師として子ども理解や保護者理解をする力を表しています。子どもを理解するとか、保護者を理解するということは、見えているものだけでとらえるのでは不十分です。見えないもの、つまり、心の内面をとらえていくためには、的確に問うて思いや気持ちを発信してもらったり、じっくりと継続的に観察し続けていったりすることが大切です。
教師の使命で最も重要なことは、どんな思いで発信したかでなく、それを受信する子どもたちや保護者にどのように伝わったのか、どのような情動のゆさぶりができたのかです。子ども理解や保護者理解が不十分であれば、教師の志が的確に受けとめてもらえず、間違ったメッセージが伝わってしまいます。
まずは、信頼される本物の教師をめざす上で必要不可欠な心構えや姿勢として重要なものという観点です。そして学級担任として、いじめ問題への重要な対応や発達特性のある子どもたちへの適切な対応などの観点です。そして管理職として開かれた学校経営をしていく上での観点です。
毎日の教育活動において、教師が常時こういった心構えで子どもたちや保護者への働きかけをしていけば、絆が結ばれ、信頼関係が構築できます。また、事案が発生しても逆に子どもたちや保護者との信頼が生まれたり、深まったりする契機となる対処法が身につきます。また、危機管理意識を高めるためにも有効です。
人を育てる、人と人の絆が豊かに結ばれていくことは、学校教育だけでなく、家庭教育においても、社会においても、すべての人々がそれぞれの立場で心から願っていることです。発信力をより充実させていくためにも、より大きく広く深く受信力を高めていくことで、みんなが立ちゆく道を歩めるようになります。